大手電力10社の労働組合が24日、経営側に今春闘の要求を出した。東京電力以外の9社が、賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)や一時金を求めた。電気料金の値上げや燃料安などで各社の業績は戻りつつあり、久しぶりの要求に踏み切った労組が目立つ。

 中部電力労組は7年ぶりに月2200円のベアを要求した。2016年3月期は最高益が見込まれているが、値上げと引き換えに社員の給与は5%削られたままだ。組合幹部は「コスト削減に協力してきた。給与を回復させたい」と話す。

 九州電力労組は、ベアを7年ぶり、一時金も4年ぶりに要求した。川内原発(鹿児島県)の再稼働もあって、16年3月期は5年ぶりの黒字になる見通しだ。関西電力労組は2年ぶりに一時金を要求。北海道電力と四国電力の両労組も、7年ぶりにベアを求めた。

 東京電力労組は、ベアと一時金の要求はせず、11年の東京電力福島第一原発事故後に減らされた一般社員の給与を5%減の水準まで戻すよう求めた。東電は事故後に一般社員の給与を20%削り、段階的に回復させていまは10%減の水準になっている。

 11年の事故の後、北陸、中国、沖縄の3電力以外は電気料金を値上げした。16年3月期の決算は事故後初めて全社が黒字になる見通しだが、値下げに踏み切った会社はまだない。(井上亮、米谷陽一)