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 2005年に栃木県今市市(現日光市)で小学1年の吉田有希さん(当時7)が連れ去られ、茨城県の山林で遺体で見つかった事件で、殺人罪に問われた無職勝又拓哉被告(33)の裁判員裁判が29日、宇都宮地裁(松原里美裁判長)で始まった。勝又被告は「殺してません」と起訴内容を否認し、無罪を主張した。

 主な争点は、殺害を認めたとされる捜査段階での自白の信用性と任意性。検察側は、録音・録画した記録を法廷で明らかにする方針。弁護側は「客観的な証拠がない」と訴えて真っ向から対立している。裁判員らは約1カ月間の審理を経て難しい判断を迫られる。

 検察側が冒頭陳述で主張した内容によると、被告は05年12月2日午前4時ごろ、茨城県常陸大宮市内の林道で女児の胸などをナイフで約10回刺し、殺害したとされる。

 検察側は、連れ去り現場付近で被告が所有していた白い乗用車が目撃されていたことや、通過車両を記録するNシステム(自動車ナンバー自動読み取り装置)によると、女児の遺体が発見された現場方面へ被告が走行していたことなどから、被告が捜査線上に浮かんだと説明した。

 さらに、殺人罪を裏付ける根拠として、遺体の傷痕の一部が被告が当時持っていたスタンガンによるものと考えられることや、女児の遺体に付着していた猫の毛が被告の飼い猫の毛と考えても矛盾しないことなどを挙げた。

 一方、弁護側は冒頭陳述で「勝又さんは無実です。事件とは無関係です」と主張した。検察側が「05年12月2日午前4時ごろ」とした死亡推定時刻について、女児の胃の内容物などから、「1日午後4時ごろ」と反論。遺体発見現場からは女児の血液がほとんど発見されなかったことも挙げた。

 その上で、自白には犯人しか知り得ない事実がないとも主張。そうなったのは、無理やり自白を強いられたのが理由だと強調し、自白には信用性も任意性もないと訴えた。

 被告は14年1月に商標法違反容疑で逮捕され、同年6月に殺人容疑で再逮捕された。商標法違反と銃刀法違反の罪についてはすでに有罪判決が出ている。殺人の審理は3月22日まで計15回行われ、商標法違反などの量刑を含めて3月31日に判決が言い渡される予定だ。(岩佐友、山下裕志)