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 関西電力高浜原発(福井県高浜町)では26日、4年7カ月ぶりに4号機が再稼働し、3号機が営業運転に入った。4号機では放射性物質を含む水漏れがあったばかりで、さらなる検証を求める声もある。東京電力福島第一原発事故からまもなく5年。「3・11」以前の姿に近づこうとしている――。地元・高浜町では、再稼働に反対する人々の声が響いた。

 「原発は重大事故を起こしかねず、人類の手に負える装置ではない。原発の即時全廃をたたかいとる」

 4号機が再稼働した午後5時すぎ、高浜原発前に集まった約50人の市民は決議を採択した。市民らはこの日午後、太鼓を鳴らしながら拳を振り上げ、「原発反対」などとシュプレヒコールを繰り返していた。

 九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働の反対運動にも参加した溝口松男さん(67)は鹿児島市から駆け付けた。「実効性のない避難計画、使用済み燃料の行き場など、高浜原発も同じ課題が残る。事故が起きれば住民がふるさとを失う。日本中の原発を廃炉にしなければならない」と訴えた。

 「5年前の福島の原発事故をもう忘れたんでしょうか。あの時の怒りは続かないんでしょうか」。福井県庁前で毎週金曜の夕方、原発再稼働反対のデモを続けてきた主婦の小野寺恭子さん(59)=福井市=は、この日も声を振り絞った。

 関電大飯原発3、4号機がいったん再稼働した2012年7月から、県内の10~20人が続ける。その回数はこの日で185回目を迎えた。

 小野寺さんは先頭に立ち、片手で横断幕を、もう一方の手でハンドマイクを握って音頭をとってきた。集会を始めた頃より参加者は減ったという。「もう一度、福島の事故を思い出してほしい」と問いかける。

 3人の子の母でもある。小野寺さんは「原発事故が起これば、ふるさとを離れなければならない。自分たちの子どもを守るため、誰もが安心して暮らせる生活を守るため、全部の原発を止めるまで反対の声を上げ続ける」と力を込めた。

 一方、地元経済界には安堵(あんど)感が広がった。高浜町商工会の田中康隆会長(59)は「少しずつ元の高浜の姿に戻っていく」と歓迎した。

 町では男性労働人口の3割近くが原発関連の仕事に就いているという。1月に3号機が再稼働するまで、全4基の長期停止が続いた。田中会長は「先がどうなるのか分からない状態が続き、将来設計や投資ができないなど不安が広がっていた。2基の再稼働でひとまず安心できる」と話す。(大久保直樹、大野正智、小川詩織)