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 ロシアのネムツォフ元第1副首相(当時55歳)が、モスクワのクレムリン近くで射殺されるという衝撃の事件から27日で1年。捜査当局は「事件は解明された」と幕引きを急ぐが、不可解な点が多く残る。事件の背後にはプーチン政権が抱える闇の気配が漂う。

 「ネムツォフ氏の殺人事件は、2015年のうちに解明された」

 事件を捜査しているロシア捜査委員会のバストルイキン委員長は、政府系「ロシア新聞」に語った。

 事件ではこれまでに5人が逮捕され、1人が指名手配されている。このほか1人が捜査を受けた際に自爆して死亡。7人全員が、ロシア南部チェチェン共和国の出身者だ。

 捜査当局が、事件を立案して他の容疑者に実行を指示した人物だと疑っているのが、事件後に行方をくらましているルスラン・ムフジノフ容疑者だ。だが、その人物像は、大それた犯行の「主犯」とみるには不自然な点が多い。

 ロシア紙コメルサントによると、ムフジノフ容疑者は27歳。モスクワで容疑者らが拠点としていたアパートに出入りしていた目撃者によると、食料の買い出しなど、使い走りの役回りだったという。

 コメルサント紙はあきれ気味に伝える。「そんな彼が一昨年に殺害を思い立ち、1500万ルーブル(当時のレートで約4500万円)を手にし、犯行グループにモスクワでアパート2部屋と携帯電話、さらにネムツォフ氏を追跡するためのベンツを用意し、実行犯に短銃を渡したというのが、捜査委員会の見立てだ」

 事件は、今年9月に予定されているロシア下院選にも影を落としている。ネムツォフ氏の暗殺で、プーチン氏に批判的な勢力の勢いがそがれたことは間違いない。暗殺から1年の27日には、モスクワなどで追悼デモが計画されているが、野党が勢いを取り戻すきっかけになるかは疑問だ。

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