再就職支援のための国の助成金に絡み、人材会社が企業のリストラを支援していた問題で、厚生労働省は29日、人材会社に対して実施した緊急調査結果を明らかにした。リストラ対象者に退職を勧める社員への研修や、退職勧奨マニュアルの提供など、ビジネスとして退職勧奨を指南する人材会社が複数あることが分かった。

 こうした実態を受け、安倍晋三首相は29日の衆院予算委員会の答弁で「人材会社が企業に積極的に退職勧奨の方法を提案し、退職者をつくり出すようなことは、人材会社の業務として好ましくない」との見解を明らかにした。

 調査は、人材会社業界の24社が対象。うち企業から再就職支援の業務を受託したのは13社で、その6割にあたる8社が、リストラ対象者との面談にあたる社員向けの研修をしていた。また、5社はリストラの制度設計を助言、3社はリストラ対象社員の選定基準を助言、2社は退職勧奨のマニュアルを提供していた。

 この問題をめぐっては、製紙大手の王子ホールディングス(HD)が子会社のリストラに絡み、国が転職者の再就職を後押しする「労働移動支援助成金」を受け、再就職支援事業を受託した人材大手テンプHDの子会社がリストラを支援していたことが明らかになっている。王子では、低評価の社員が「ローパフォーマー(ローパー)」とされて退職勧奨の対象になった。対象社員の選定基準はテンプが示していた。

 厚労省は、こうした人材会社のリストラへの関与は「趣旨に反する」として、助成金の支給要件の厳格化を検討している。(北川慧一、古賀大己)