文化審議会国語分科会は29日、常用漢字について、字体・字形を幅広く認める指針をとりまとめた。たとえば手書きの際、「木」の縦画は、とめてもはねてもよいことや、「天」の2本の横画は上下どちらが長くても誤りでないことなど、2136すべての漢字で手書き例を2、3種類例示した。

 現在の常用漢字表の解説でも細かな違いを許容している。だが、パソコンの普及により、官公庁や金融機関の窓口で名前などを記入する際、印刷された明朝体の文字に合わせて書き直すよう指示されるといった問題が生じている。たとえば「令」の下の部分は「マ」でもよいのに、明朝体の通り「令」にするように言われるケースがあるという。

 このため改めて周知することにし、指針では「字の細部に違いがあっても、その漢字の骨組みが同じであれば、誤っているとはみなされない」「手書き文字と印刷文字の表し方には、習慣の違いがあり、一方だけが正しいのではない」と説明している。

 「字体・字形に関するQ&A」もまとめ、「士」と「土」、「末」と「未」のように、横画の長短が入れ替わることで別の字になってしまう場合は注意が必要、など78のポイントについて具体的な事例を挙げながら解説した。

 また、学校現場での指導にも配慮し、指針について「とめ・はね・はらいはどうでもいいと言っているのではないし、先生方の指導を大きく変えてほしいと言っているわけでもない」と報告された。文化庁国語課の担当者は「標準の字形を学ぶことや美しく書くことは大事なこと。一方で、正しいか誤りかは別の問題なので、柔軟に評価してほしい」と話している。

 同庁は指針をホームページで公開するほか、4月にも書籍化する。(佐々波幸子)