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 ミャンマー総選挙で大勝した国民民主連盟(NLD)が、3月末の新政権発足時のアウンサンスーチー党首の大統領就任を見送る方向になった。軍政の流れをくむ現政権や国軍内で反発が強く、交渉が難航していた。安定した政権運営に不可欠な軍との連携をまず優先した形だ。

 軍政下で制定された憲法には「外国籍の家族がいる人物は大統領になれない」との規定がある。スーチー氏は亡夫や息子が英国籍のため、就任できない。

 昨年11月の総選挙で国会の過半数を得たNLDは、スーチー氏の大統領就任を模索。国会での大統領選出手続きを3月17日まで先送りした上で、国会の4分の1の議席を有し、国防や内務など3閣僚を送り出せるなど強い政治権限を持つ軍と交渉。軍の同意を得て特別法を制定し、憲法の大統領資格条項を一時凍結しようとした。

 当局筋によると、交渉で軍側は全国に14ある州・管区政府のうち四つについて行政トップのポストを要求。NLDが応じれば「スーチー大統領」を容認する可能性を示唆していたという。だが、交渉は妥協に至らなかった模様だ。

 NLD関係者によると、同党から選ばれた議長が1日の国会で、17日としてきた大統領選出手続きを「1週間程度前倒しする」と表明する。特別法の審議には「3週間程度は必要」(NLD法律顧問)で時間が足りない。「スーチー大統領」を事実上断念した形だ。

 スーチー氏は、大統領に党幹部を据え、自身は外相に就任するとの観測が出ている。ただ彼女自身が「大統領の上位に立つ」と表明しており、実質的にはスーチー氏が政権を率いる形になりそうだ。(ヤンゴン=五十嵐誠)