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★キャンプの素顔・総括編

 「自覚」と言えばいいのだろうか。それとも「責任感」という言葉が適切か――。

 阪神の藤浪のことだ。1月4日の自主トレ公開からキャンプまで、彼を取材して感じたのは、自分自身にかなりのプレッシャーをかけて練習に取り組んでいるなということだ。

 「自分のペースでやらせてもらえる方がありがたい」「序盤からアピールしなければいけない立場ではないと思うので」などと、たびたび口にした。

 昨秋に右肩を痛めた影響もあり、慎重に調整していることもあるだろう。実績から考えても、その発言は当然のことだ。新人から3年連続で2桁勝利。昨季はチームトップの14勝(7敗)を挙げた。ケガさえしなければ、先発ローテーションを確約された立場にあることは間違いない。

 とはいえ、先のような発言をするからには、結果を残さなければ格好がつかない。そして、有言実行すべく、キャンプの1カ月間で間違いなく藤浪は状態を上げてきた。

 ブルペンでの投球は日を追うごとにまとまりとキレが出てきた。対外試合初登板となった2月20日の楽天戦(練習試合)では3回6失点と乱れたが、28日の紅白戦では4回を完全投球。それでも、「まだまだ。もっと質を高めていきたい」と、目指すレベルは高い。

 今、藤浪は阪神のエースと言っていい。だが、まだ「絶対的」という枕詞(まくらことば)がつくほどではないだろう。

 実は大阪桐蔭高時代もそうだった。背番号1をつけて甲子園で春夏連覇を達成した。が、このとき大阪桐蔭にはもう1人「エース」がいた。背番号10をつけていた沢田(立大4年)だ。制球の良い沢田と比較され、仲間からは「沢田のほうが守りやすい」などと言われていたものだ。

 もちろん、高校時代とプロの今を比べるのは藤浪に失礼だ。実際、4年ぶりに藤浪を取材して、その投球の迫力、球速、そして何より、まとうオーラに驚かされた。4年間でここまで進化するものなのかと。

 だからこそ期待する。ダルビッシュ(日本ハム→レンジャーズ)、田中(楽天→ヤンキース)、前田(広島→ドジャース)のように、チームで唯一無二の「絶対的エース」となってほしいと。

 発言の数々は、そんな存在になることへの「覚悟」「決意」の表れと見た。(山口史朗

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