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★キャンプの素顔・総括編

 今季からDeNAを担当することになり、記者10年目で初めてプロ野球の春季キャンプを取材した。

 指導者の道を歩み出したラミレス監督、42歳で球界最年長となった三浦、侍ジャパンの4番も務める筒香――。右も左も、見て、聞いて、書きとどめないといけないことばかり。そんな中、特に新人選手の動きには自然と目が向いた。

 こちらの不慣れな質問にも誠実に、じっくり考えて答えてくれる姿勢は正直、ありがたかった。だけど、もちろん理由はそれだけではない。

 キャンプ当初は先輩選手たちと比べて明らかに軟弱で、どこか小さく見えた体が日に日に変わっていく。慣れない環境に戸惑った表情も、練習試合に出る頃には一気に精悍(せいかん)さが増した。

 だから、野球取材1年目の記者には見ていて新鮮だった。アマチュアからプロへと変貌(へんぼう)させる濃厚な1カ月。当たり前なのかもしれないが、これが、プロのキャンプなのかと驚いた。

 とりわけ、ドラフト1位の今永(駒大)と2位の熊原(仙台大)には、今後のチームの屋台骨を背負ってほしいと期待が膨らんだ。

 今永は周囲の期待以上の結果を残したのではないか。ラミレス監督が投手陣のMVPに選ぶ成長ぶりだった。「移動もあって疲れています」。キャンプ初日にそう漏らした時は、おいおい大丈夫かと思ったが、見事に1軍キャンプを完走した。

 キャンプ終盤のサムスン(韓国)との練習試合は先発して4回を無失点。終始落ち着いた表情でマウンドに立ち、打者の内角を正確に突く直球が光った。「ローテーション争いを自分がかき乱したい。それがチームの底上げになるから」。試合後のコメントも堂々としたもの。シーズン前にして、「今永君」とは呼びにくい雰囲気をまといつつある。

 同2位の熊原(仙台大)も、当初は「夢のよう」と表現していた1軍でキャンプを終えた。独特の投球フォームで、キャンプ中盤の練習試合では2度のボーク判定を受けた。試合中は動揺も見えたが、そんな壁は乗り越えそうだ。「修正点は自分の中でわかっているから大丈夫だと思います」。そう言うと、次の練習試合ではしっかり改善して見せた。今季は1軍定着を目標に据える。

 チームは10年連続でBクラスに沈んでいる。そのうち7年は最下位だった。プロ1年目の経験不足は弱点にもなるが、過去の「負け癖」を知らないのは彼らの強み。野球記者1年目で担当球団に入団した選手というのも何かの縁と勝手に思って応援したい。新監督の下で走り出したチームを、左腕、右腕の二人が先頭に立って引っ張ってほしい。(波戸健一)

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