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 北朝鮮による4度目の核実験と事実上の長距離弾道ミサイル発射を受け、国連安全保障理事会は2日午前(日本時間3日未明)、北朝鮮に対する制裁を強化する決議を全会一致で採択した。北朝鮮産鉱物の輸入禁止などが新たに盛られ、北朝鮮に出入りする貨物の検査や金融制裁を強化し、モノ・カネ・ヒトの流れを大幅に制限する内容。核・ミサイル開発に打撃を与える意図がより強まった。

 決議を主導した米国は1日の採択を目指したが、常任理事国ロシアの要請で1日延期された。また、決議の内容も当初の案から部分的に修正が加えられた。

 採択された決議では、新規制裁の「北朝鮮への航空燃料の輸出禁止」について、「北朝鮮の民間機への国外での燃料販売と供給は認める」とする例外規定が追加された。さらに、新たに渡航禁止や資産凍結の制裁対象となるリストから、ロシア駐在の北朝鮮国籍の人物が削除された。北朝鮮とロシアの鉱業系の貿易を担っていたとみられる。追加される個人は当初案の17人から16人に減った。ロシアのチュルキン国連大使は記者団に「彼はロシアにいない。それが問題だった」と語った。

 このほか決議では、北朝鮮からの金やチタニウムなどの輸入禁止▽違法行為に関与する北朝鮮外交官の追放の義務化▽北朝鮮の原子力工業省や国家宇宙開発局など12団体と16個人の制裁対象リストへの追加▽ぜいたく品リストへの高級時計や2千ドル(22万8千円相当)以上のスノーモービルの追加などが盛り込まれた。

 理事国からは「前例のない厳しさの制裁」(米国のパワー国連大使)との評価が相次ぐが、今後は加盟国の決議履行が課題になる。国連関係者からも、大量の貨物が往来する港での検査がどこまで徹底されるのか、そもそも検査要員は足りているのかなどの課題が指摘されている。

 日本の吉川元偉・国連大使は、採択後、「制裁は履行されて初めて効果を発揮する。採択は目的でなく、今日は始まりに過ぎない。今こそ私たちは決議に盛り込まれた措置を完全履行しなければならない」と演説し、加盟国に決議をしっかりと履行するよう求めた。

 決議を受けて北朝鮮が強く反発するのは必至で、関係国は警戒を強めている。(ニューヨーク=金成隆一

■国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議の骨子

・北朝鮮への航空燃料(ロケット燃料含む)の輸出禁止(例外あり)

・北朝鮮からの石炭や鉱物資源の輸入禁止(例外あり)

・北朝鮮に出入りする貨物の検査の強化

・安保理決議違反が疑われる全船舶の寄港禁止

・金融制裁を強化

・渡航禁止や資産凍結の対象となる個人、組織を倍増

     ◇

〈国連安全保障理事会の制裁決議〉 安保理の決議に基づく制裁は、国際法違反をやめさせるための手段。非軍事的な措置を定めた国連憲章第7章に基づき、加盟国に対して法的拘束力がある。以前は、アパルトヘイトを理由にした南アフリカへの制裁など限定的な事例しかなかったが、1990年代から大幅に増加。クウェートに侵攻したイラク、民族浄化を理由とした旧ユーゴスラビア連邦、大量殺害などの暴力を理由とした内戦下のルワンダ、ウラン濃縮などの核開発を理由としたイランなどの事例がある。北朝鮮には、2006年の最初の核実験以降、これまで計4本の決議で制裁が科され、今回が5本目となる。

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