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★キャンプの素顔・総括編

 社会部や経済部など、スポーツと関係ない部署の同僚であっても、最近は顔を見れば必ず同じ質問を投げてくる。

 「それで、今年の松坂はどうなの?」

 3年連続日本一を狙うソフトバンクには、5年ぶりに大リーグから復帰した和田や、昨季トリプルスリー(打率3割、30本塁打、30打点)を達成した柳田など、話題の選手が少なくない。でも、「松坂大輔」に対する関心の高さはちょっと次元が違うらしい。

 キャンプでも同様だった。松坂が動けば、ファンもマスコミも動く。今年は主力中心のA組ではなく、控え選手が多いB組でのキャンプ生活。でも、そんなことは関係ない。年俸4億円(推定)の3年契約を結びながら、昨季登板ゼロ。輝きを失った「怪物」は復活するのか――。注目度は相変わらずだった。

 だが、沈み込むように下半身を使った全盛期のフォームの面影は、やはりなかった。佐藤投手コーチも「まだ腕力で投げてる部分がある」と厳しい。キャンプ中は、キャッチボールをしてみて感覚が良ければブルペンに入り、いま一つなら予定変更で回避ということも。昨夏に右肩を手術したとあって、探るような調整ぶりが目を引いた。

 結局、松坂は今年活躍できるのか。

 開幕ローテーションから外れることは、工藤監督がすでに明言している。その先についても、「上(1軍)で投げる確約はできない。そこは勝ち取るところ」とあくまで内容を重視していく方針だ。

 当の本人は「全てがうまくいってるとは思わないけど、それなりに仕上がってきてる」と手応えを感じた様子で、3日にあった2軍の練習試合でも2回無安打無失点の快投を披露した。

 ただ、昨年のキャンプ最終日も「やりたいことは全てできた」と自信を深めていたはず。前向きな発言をそのまま受け取るわけにはいかないだろう。

 手術明けの35歳。2桁勝利の活躍を期待するのは、現実的ではない。それでも、松坂より1歳年下の同世代としては、再起する右腕をやっぱり見てみたい。辛口の佐藤コーチだって「変化球はうまい。去年の今ごろより状態もいい」と一定の評価をしている。

 期待込みの予想にはなるけれど、ローテーションの谷間を埋めるように夏前に初登板の機会をつかむに違いない。勝ち星は二つか三つ挙げられれば十分。勝負は3年目の来季だ。今季はきっと、復活に向けたステップのシーズンとなる。(吉永岳央)