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★キャンプの素顔・総括編

 「カープの伝統的な野球を復活させる」。緒方監督はキャンプインと同時に高らかに宣言した。

 広島の伝統とは?

 打って走って守れる野手がいる。そして、育つ土壌があるという。「トリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁以上)を達成した選手は野球界に10人しかいない。カープはそのうち、野村、金本と2人も出している。そういう選手を育てるのが楽しみ」

 何より広島生え抜きとして、プライドをのぞかせた言葉がある。「トリプルスリー(達成者)は、中日にも巨人にもいない」

 キャンプイン前から「今シーズンは投手中心に守り勝つ」と度々口にしていた。野手出身のわりには、投手の話が多いと感じていたさなかでの、「トリプルスリー話」だった。口調の端々から、情熱がほとばしっていた。

 緒方監督自身もトリプルスリーに近づいたが、達成できなかった。23年間の現役生活のなかで、3割、30本、30盗塁の経験はあるが、1シーズンでそろえたことはない。1999年には36本塁打、打率・305となったが、18盗塁に終わった。その話題を振ると、本当に悔しそうだった。「そうなんだよ。あの年は足をケガしていたんだ」

 昨季は新人監督として苦しんだ。一方で、チーム状況をしっかり把握し、選手の潜在能力に気づいたシーズンでもあった。「楽しみな選手はいます。1人、2人じゃありません」

 日本代表の丸と菊池、日本代表の小久保監督から注目されている鈴木、ドラフト1位でプロ2年目の野間……。トリプルスリーの候補生は確かにいる。

 「まずはバットを振るのが原点だと思う」と指揮官。その言葉通りがむしゃらに練習し、この約1カ月間のキャンプで選手はたくましくなった。今季は25年ぶりのリーグ優勝を狙うのはもちろんのことだが、個人成績にも注目したい。出(い)でよ、トリプルスリー。(吉田純哉)