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 安倍晋三首相は4日、沖縄県の米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画をめぐり国が翁長雄志(おながたけし)知事を訴えた代執行訴訟で、福岡高裁那覇支部が示した和解案を受け入れる方針を固めた。政府は移設先の同県名護市辺野古での移設工事を中止。沖縄県側はすでに和解案を受け入れる考えを示しており、国と沖縄県の和解が成立した。

 首相は4日昼、首相官邸で岸田文雄外相、中谷元・防衛相、石井啓一国土交通相、岩城光英法相、島尻安伊子沖縄北方担当相らと協議し、和解案を受け入れる方針を伝えた。

 首相は協議後の4日午後1時すぎ、首相官邸で記者団に「裁判所の和解勧告を受け入れ、沖縄県と和解する決断をした。普天間飛行場の全面返還のためには、辺野古への移設が唯一の選択肢であるという国の考え方に何ら変わりはない。しかし、現状のように延々と訴訟合戦を繰り広げている関係が続いていけば、結果として膠着(こうちゃく)状態になる」と述べた。さらに「和解内容を誠実に実行することとし、埋め立て工事を中止する。中谷防衛相に指示した」とも語った。

 国と県は現在、辺野古移設をめぐり三つの訴訟を争っている。代執行訴訟は昨年11月、国が翁長氏に対し、名護市辺野古沿岸の埋め立て承認取り消しの撤回を求めて提訴した。裁判所は今年1月、「暫定的な解決案」と「根本的な解決案」の2案を提示し、国と県それぞれと和解協議を続けていた。

 裁判所は2月29日の弁論に合わせ、国が進める移設工事の中断を含む「暫定案」の詳細案を提示。暫定案は、国、県の双方がそれぞれ行政手続きなどを取り下げ、国は地方自治法に基づく是正指示など代執行以外の手順を新たに進めるとしている。県側には受け入れやすい内容で、すでに裁判所に前向きに検討する意向を伝えていた。

 移設作業の遅れを回避したい政府は、これまで暫定案は受け入れられないとしてきた。だが、訴訟が長引き、国と県による対立がさらに激化するのは好ましくないと判断し、暫定案をもとにした和解案を受け入れる方針を固めた。

 中谷防衛相は首相との協議後、記者団に「和解案を受け入れる決定をした。和解案が成立するかどうかだが、その方向で手続きが行われると思う」と語った。島尻沖縄担当相は「和解に向け国と県が協力していく。これ以上、訴訟が重なっていくことは解決には向かわないのではないか」と語った。

 一方、上京中の翁長知事は4日昼、取材に対し「まだ何も聞いていない。情報を集めたい」と述べた。裁判を担当する沖縄県の幹部は「国がどんな条件で和解に応じようとしているのかも分からないので、何とも言えない」と話した。

■辺野古移設をめぐる動き

13年12月 仲井真弘多沖縄県知事が名護市辺野古の埋め立てを承認

14年12月 翁長雄志沖縄県知事が就任

15年10月 翁長知事が埋め立て承認を取り消し

  同月 政府が代執行手続きへの着手を閣議了解、国交相が承認取り消しの効力を止めると決定

  同月 防衛省が辺野古埋め立ての本体工事着手

  11月 国交相が翁長知事を高裁に提訴

16年1月 高裁が和解案を提示