認知症の人や家族、支援者らがたすきをつないで日本を縦断するランニングイベント「RUN伴(ランとも)」。そのプロモーション映像作品が完成した。映像やWEB制作、音楽など各分野の新進クリエーターたちが協力してつくった。何人もの認知症の人が自分の言葉で思いを語り、笑顔で走りだす。「認知症だからできないと思われたくない」。そんな気持ちも伝わってくる作品だ。

 ウェブサイトで公開されている(http://runtomorrow.jp/別ウインドウで開きます)。

 RUN伴は2011年に北海道の函館―札幌間からはじまった。NPO法人「認知症フレンドシップクラブ」が主催する。認知症になっても安心して暮らせるまちづくりを掲げて活動する。各地で希望者が手をあげ、昨年は北海道から福岡県まで約3千キロを、約8千人がたすきをつないで走ったという。

 同クラブの岡田誠さん(富士通研究所)はプロモーション映像制作の狙いをこう話す。「若いクリエーターの新鮮な視点でこの活動を表現してもらおうと考えた。認知症の人が生き生きと輝いている瞬間を、国内だけでなく海外にも届けたい」

 映像を手がけたイグジットフィルム代表取締役の田村祥宏さんは、「僕らが関わることで、認知症に縁がなかった世代に扉を開きたい。映画好きな人、WEBに興味がある人など『かっこいいもの』への感度が高い人を輪に入れて広めることができればいい」と語った。

 先月、東京・池袋の映画館を貸し切りにして、映像の公開記念イベントが開かれた。39歳でアルツハイマー病と診断された仙台市の丹野智文さんは映像のなかで、「こうやっていろんな人たちと知り合いになってくると、私が進行しても、うちの妻とか子どもたちを絶対助けてくれるんじゃないかなって思う」と語り、思わず声を詰まらせる。公開イベントで丹野さんは「(認知症と診断されたとき)こんな人生が待っているなんて思いもしなかった」と話した。

 買い物、編み物、農作業。シーンの端々から、認知症とともに生きる人の人生と、人や街のなかで生きることの重要さを感じることができる。5分余りの映像には英語の字幕がついている。(清川卓史)