米演劇界で最高の栄誉とされるトニー賞で、昨年話題になったブロードウェーミュージカル「王様と私」に再出演する俳優の渡辺謙さん(56)が5日、渡米直前に成田空港(千葉県成田市)で会見した。「再び素晴らしいカンパニーと仕事ができることを誇りに思って楽しみ、もう一回作り上げるつもりでいきたい」などと抱負を語った。

 渡辺さんは昨年、「王様と私」の王様役を主演し、ミュージカルの主演男優賞にノミネートされた。受賞は逃したものの快挙だった。「(初演の)ユル・ブリナーが演じた王様役に関しては一度クリアできた気がするので、もうちょっとモダンな王様像に挑戦したい」と意気込む。

 再出演は1日からの予定だったが、早期の胃がんで内視鏡の手術を受け、延期した。自覚症状はなかったが、娘の杏さんと妻の南果歩さんに勧められた人間ドックで発覚したという。「大変だったのは3日間絶食したぐらいで、手術の痛みはなく、医学の進歩はすごいなと思った。20代終わりに大きな病気をして人は死ぬんだなと思い、この歳でもう一回そういうことを再認識する機会に恵まれた」

 17日から、ニューヨークのリンカーンセンターで約1カ月出演する。「色々ご心配おかけしましたが、また新しい役に向かって前に進むことができるようになりましたので、ぜひ見てやってください」。渡辺さんは笑顔で手を振り、出国ゲートへ向かった。(成川彩)