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 横浜南部市場(横浜市金沢区)で働く有志たちが被災地からサンマを仕入れ、炭火で焼いてイベント会場で振る舞う活動を続けている。被災地支援と同時に、市民に魚食に親しんでもらうことも狙いだ。「横浜をサンマの消費量日本一に」と目標は高い。

 観光客でにぎわう横浜市のみなとみらい21地区に6日昼、炭火でサンマを焼く香ばしいにおいがただよった。「サンマを無料で配布していまーす」。呼び声につられてすぐに長い列ができた。無料だが、ほとんどの人は受け取る際に数百円から1千円程度を、次の仕入れ費用に充てるための募金箱に入れていく。

 ネットで催しを知ったという横浜市中区の岩本由美さん(46)は「炭火で焼いたサンマはなかなか食べられないから」。いつもは魚は苦手だという小学2年の優希君(8)も「おいしかった」と笑顔を見せた。

 サンマを配っているのは市場の商店主や卸売会社員が立ち上げた「愛と勇気とさんま実行委員会」。宮城県の女川や気仙沼からサンマを仕入れ、週末に地域の祭りや工場の一般公開、Jリーグのサッカースタジアムなど、様々な催しに出向いては配っている。

 震災直後のことだ。「被災地の役に立ちたい」。市場で軽作業を担う障害者の男性の言葉がきっかけになった。障害者施設職員の大川貴志さん(37)が、業務用の調味料店を営む柴岡義幸さん(54)に相談。市場内の有志で衣類や食料を持ち寄り、トラックに積んで被災地に運んだ。

 被災地には市場の取引先も多い。「自分たちは物乞いじゃない。自分の力で生きたい」。女川の旧知の水産加工業者が漏らした言葉が、大川さんらの心に残った。

 「漁師は魚でしか生きていけない。女川と言えばサンマだ」。一緒に被災地に通った水産仲卸の村松享さん(57)が言った。原発事故の風評被害もあって、震災前にとれたサンマも売れ残っていた。大川さんが応じた。「サンマを買って被災地の経済を回そう。それが市場の役割だ」