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■絵本作家・新宮晋さん

 生まれ育った大阪府豊中市は、今でこそ、都市化が進んでいますが、私が小さいころは里山や畑が広がるのどかな場所でした。

 私は勉強より遊びに夢中で、当時はモノもなく貧しい時代でしたから、遊びは生活そのもの。夕飯の材料にするために、池にフナやコイを釣りに行き、母に頼まれて河原でセリを摘むという具合です。自然べったりの子ども時代でした。

 父は商社勤め。母は教育熱心な専業主婦。男ばかりの4人兄弟の末っ子です。私が生まれる前には米国やインドなど外国暮らしも長かったので、家には洋書がたくさんあり、それに触れて育ちました。異文化への興味も強かったと思います。

 小学生のころは、理科と算数が得意で、古い自転車を飛行機に改造しようとして、分解したり組み立てたりすることに夢中になっていました。絵も好きで、中学生のころから、大人の展覧会に出品していました。東京芸大を卒業し、イタリアへ留学。風の力を受けて動く彫刻をつくりはじめました。

 人は、深くて豊かな大自然の一部に過ぎない。なのに、そのことを忘れがちです。私は、彫刻という手法で、風の存在を、より多くの人に、目に見えるように届けたいと考えて作品をつくってきました。

 そんな私が絵本をつくるきっかけになったのは1970年代初めのこと。米国のハーバード大に客員芸術家として招かれていたころです。彫刻家のイサム・ノグチさんのアトリエを訪ね、デザートにイチゴを出していただきました。

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