伊田篤史十段(21)に六冠王の井山裕太名人(26)=棋聖、本因坊、王座、天元、碁聖=が挑戦する囲碁の第54期十段戦五番勝負(産経新聞社主催)の第1局が8日午前9時半、大阪府東大阪市の大阪商業大学で始まった。挑戦者の井山名人は、この五番勝負を制すれば前人未到の七冠独占を達成する。囲碁界初の偉業がかかる注目のシリーズに、開幕戦としては異例の40人を超える報道陣らが詰めかけ、大勝負が始まった。

 大学内に設けられた対局室に先に姿を見せたのは井山名人。続いてタイトル保持者の伊田十段が入室し、立会人の後藤俊午九段が対局開始を告げた。先番(黒番)に決まった伊田十段が第一着を打った後、白番の井山名人はハンカチで手の汗を拭ってから2手目(白番の初手)を打った。

 対局は持ち時間各3時間で、8日夜までに勝敗が決まる。シリーズは4月下旬の第5局まで用意されていて、一方が3勝した時点で決着する。伊田十段には初防衛がかかっている。

     ◇

 7日には東大阪市で前夜祭があり、両対局者が決意表明をした。

 伊田十段は「昨年十段のタイトルを取れて、ここに来られてうれしい。気分的には挑戦者です。僕が最後の砦(とりで)になってしまった。同じ棋士として、七冠を取られるわけにはいかない。全力で阻止したい」。

 井山名人は「伊田さんは若く何度も七冠のチャンスがあるが、私に残されたチャンスは少ない。第1局は私の地元(東大阪市)。伊田さんはそのことを頭に置いてほしい。注目のシリーズなので頑張りたい」。(大村治郎、伊藤衆生)