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 夢見るピンクの豚からリアルに再現された豚まで、ひたすら豚だけを立体造形で表現している異色の芸術家、小野養豚(ようと)んさん(37)=筑波大助教=の展覧会「小野養豚ん展...pigeep...pigeep...」が埼玉県川越市立美術館で開かれている。

 「pigeep」は、pig(豚)とsleep(眠る)を合成した、養豚んさんの造語。美術館のエントランスに展示された作品「...pigeep...pigeep...」は、母子の豚が寝息をたて、肌を触れ合いながら夢の世界へと飛んでいく幸せな時間を表現したという。「豚って寝るときは寄り添って温め合って寝るんですよ」と養豚んさん。

 タッチアートコーナーに展示されている作品「暖」は、手袋を着用して作品に直接触れることができる。寄り添って行動する豚の姿をそのまま表現した。

 養豚んさんは群馬県の養豚農家生まれ。1千頭超の豚に囲まれ、フン掃除も手伝った。美術大に入学後、目標を見失っていたときに故郷を思い出した。「人間にとって最高に効率の良い豚が生産され、消費される一方で、食肉豚の生産工程を消費者は知る必要がない」。身近な存在だった豚をモチーフに、主にポリエステル樹脂を使った立体作品の制作を始めた。

 「命あるものを食べて生きているという意識がどれだけあるのか。そんな疑問が私の作品を貫くテーマ。豚に人間の姿を投影し表現していきたい」と話す。

 全身をキラキラと装飾した豚の作品「飼うのか喰(く)うのか」と「それでも豚に真珠」は、食用と認識していた豚がペットとして飼われる事実を知った作者の葛藤を表現した。

 「養豚ん展」は27日まで。観覧無料。月曜休館(21日は開館、22日休館)。問い合わせは同美術館(049・228・8080)。(大脇和明)