【動画】スズキ、インドから日本初の逆輸入車「バレーノ」発売=山本知弘撮影

 スズキは9日、インドでつくった小型ハッチバック車「バレーノ」の日本での販売を始めた。インドはスズキの生産の約半分を担う最大拠点ながら、逆輸入は1983年の現地生産開始以来、初めて。欧州などでも販売を計画する「世界戦略車」を使い、小型車市場での販売拡大を目指す。

 「一番量が売れるのがインドだからインドでつくる。工場は日本のレベルに到達し、日本でつくるよりコスト的にもメリットがある」。東京都内での会見で9日、スズキの鈴木修会長はそう力を込めた。

 スズキにとって、国内の主力は軽自動車だ。だがその市場は今後、大きな伸びは期待できない。そこで小型車市場の開拓だ。このクラスには「スイフト」があるが、「国内で小型車販売10万台」(2015年実績は約7万6千台)の目標達成のためには車種が不足している。バレーノは昨年10月にインドで売り始め、インドから各地に輸出する世界戦略車だ。日本での車種不足を解消するため、逆輸入に踏み切った。

 日本での販売目標は年6千台。それでもハードルは高い。円高が進んだころ、日産自動車や三菱自動車がタイ産の小型車を逆輸入したが、日本ではさほど売れなかった。消費者には価格より日本製へのこだわりが強く、「インドの車を消費者がどう評価してくれるか」(スズキ系販売店主)との声もある。

 この日に発売したのは排気量1・2リットルで、基本は昨秋インドで売り出したものと同じだ。部材の8割はインドでそろえたが、工場での品質チェックは日本人が立ち会う徹底ぶりを強調した。「スイフト」より一回り大きいが、新しい車台を使って重さは1割軽くした。燃費はガソリン1リットルあたり24・6キロで、価格は消費税込みで141万4800円。5月には排気量1リットルのターボ車も追加する。(山本知弘、田中美保)

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 発表会見での、鈴木修会長、鈴木俊宏社長の主な発言は以下の通り。

 ――インドで生産する車を日本で販売する狙いは。

 修会長「インドの品質が、30年やって、ようやく日本でつくるレベルまで達したと判断した。すでにハンガリー工場でつくったモデルは日本に入れた実績がある。品質的には問題ないと、こう思っています」

 ――インドからの輸入車に消費者の抵抗はないか。

 修会長「そういう先入観は、もう解消しているんじゃないですかね。インドからは欧州に出しているが何の問題もない。グローバル化というのは、そういうことじゃないでしょうかね」

 ――国内では軽自動車を減産中だが、国内でつくらないわけは。

 俊宏社長「(減産中の)湖西工場は軽自動車に特化している。同じクラスのものをなるべく集めて生産していくのが効率的だと考えている」

 修会長「正直申し上げて、日本で量産効果があがるには、少なくとも12万台つくらないと。バレーノは一番量が売れるのがインドだから、インドでつくる。2カ所でつくるのはもったいない。スイフトで経験しました。7カ所でつくったが、3カ所くらいはペイしなかった。品質が達成できるなら、販売が一番多い適地でつくっていくと」

 ――軽以外の小型車を、国内で年間10万台売る目標については。

 俊宏社長「今年度はソリオ、エスクード、イグニス、バレーノと小型車4モデルを投入した。商品的には10万台をやる体制が整いつつあるのかな、と」

 ――トヨタ自動車が、軽が主力のダイハツ工業を完全子会社化する。どう考えるか。

 修会長「今日はご質問をいただくとは予想していませんでしたし、他社さんのこと。今日はインドからバレーノを入れたということで質問を受けたいと思います」

 ――他社との提携について、考えはどうか。

 俊宏社長「必要に応じていろんなカーメーカーさんと連携はしていきたいが、独自でやっていくのが基本だと思っている」