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 再稼働したばかりの関西電力高浜原発の原子炉から、再び「火」が消える。滋賀県の住民らが大津地裁で高浜原発3、4号機の運転差し止めを勝ち取った。運転中の原発を直ちに止める史上初の司法判断。東京電力福島第一原発事故から5年を目前に、会見で国に原発ゼロ政策にかじを切るべきだと訴えた。

 午後3時38分、大津地裁正門前で歓声が上がった。「やった」「止めたぞ」。雨の中、抱き合い、涙を流す数十人の住民らの前で弁護団のメンバーが掲げた紙には、「いのちとびわ湖を守る運転差し止め決定!」と書かれていた。

 「長年の苦労が実を結んだ。たくさんの人の願いが現実になりました」。高浜原発から30キロ圏外で暮らす住民らと喜びを分かち合ったあと、元裁判官で弁護団長の井戸謙一弁護士(61)は取材にこう語った。

 井戸弁護士は金沢地裁の裁判長だった2006年3月、北陸電力志賀(しか)原発2号機(石川県志賀町)について「想定を超えた地震動で事故が起こり、住民が被曝(ひばく)する具体的可能性がある」として、運転差し止めを命じる判決を言い渡した。

 だが、二審判決で覆り、10年に確定。退官直前の11年3月には福島で原発事故が発生した。「経験が生かせるはず」「原発を止められなければ、また同じことが起こる」。退官後は原発に反対する各地の住民らに寄り添い、脱原発の活動にも力を入れた。ところが、昨年4月に九州電力川内(せんだい)原発1、2号機の運転差し止めを求めた仮処分の申し立てを鹿児島地裁が却下。高浜原発3、4号機の再稼働を差し止めた福井地裁の仮処分決定(昨年4月)も昨年12月に同地裁の別の裁判長が取り消した。

 原発再稼働を司法が認める流れができつつある中、再びストップをかけた今回の決定。井戸弁護士は大津市で開いた記者会見で「画期的。全国の裁判所に与える影響は大きい」と評価したうえで、「原発立地県ではない滋賀県で原発を止めた。福島の事故の経験があったからこその決定だ」と語った。

 住民代表として会見に同席した辻義則さん(69)=滋賀県長浜市=は「政府はエネルギー政策を見直し、原発ゼロ政策にかじを切るべきだ」とする声明を読み上げ、「鳥肌が立つほど感動した。裁判所は勇気を持って県民の願いに応えてくれた」と喜んだ。

 各地で原発訴訟にたずさわる弁…

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