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 ミャンマー総選挙で大勝した国民民主連盟(NLD)は10日、新大統領の候補として、アウンサンスーチー党首の側近で財団幹部のティンチョー氏(69)を指名した。国会での全議員による投票で、来週にも大統領に選ばれる見通しだ。

 NLDは昨年11月の総選挙で大勝。選挙によらない「軍人枠」(議席の4分の1)を含めても国会の過半数を得た。軍事政権下で制定された憲法の規定で、亡夫や息子が英国籍のスーチー氏は大統領になれない。だが、国軍の政治支配が続いてきた同国で、民主的な手続きを経て軍出身でない人物が政治指導者に選ばれるのは、56年ぶりになる。

 NLDメンバーらによると、ティンチョー氏はスーチー氏と同じ高校の1年後輩で、その時からの知り合い。経済学やコンピューター科学の専門家で、1974年に電子工学分野の国際協力機関による研修で日本に滞在した経験がある。

 官僚だった88年に民主化運動に参加。義父がスーチー氏と共にNLDの創設に加わり、自身も92年に入党した。党幹部の中央執行委員ではないが、軍政時代からスーチー氏と共に行動。当局に拘束された経験もある。スーチー氏が代表を務める貧困者支援などをする財団の幹部を務める。

 大統領は議員でなくても就任でき、上下院それぞれの民選議員団が1人ずつ、両院合同の軍人議員団が1人の候補を選んだ後に、全議員が投票。最多票を得た人物が大統領となり、敗れた2人は副大統領に就く。

 NLDは10日、下院で非議員のティンチョー氏、上院で少数民族チンのヘンリーバンティーユ上院議員(57)をそれぞれ大統領候補に推薦した。NLD幹部らによると、NLDは、投票ではティンチョー氏を大統領に推す方針だ。

 スーチー氏は総選挙後、憲法の規定を凍結する形で自身が大統領に就くことを模索。軍と協議したが、不調に終わっていた。代わりの候補として様々な名前が取り沙汰されたが、スーチー氏は自身が信頼するティンチョー氏を選んだ。10日、今回の大統領選出手続きが「国民の期待を実現するための重要な一歩だ」と声明を出した。

 スーチー氏は総選挙の際に自らが「大統領の上に立つ」と述べており、ティンチョー氏はスーチー氏に忠実に政権運営をするとみられる。スーチー氏は外相に就任するとの観測があるが、憲法が閣僚の政党活動を禁じているため、与党党首のまま閣外から政権を率いるとの見方が強い。(ネピドー=五十嵐誠)

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