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 2005年に起きた栃木県今市市(現日光市)の小1女児殺害事件で、殺人罪に問われた無職勝又拓哉被告(33)の裁判員裁判は10日、取り調べの様子を収めた録音・録画の再生が宇都宮地裁で始まった。自白の任意性や信用性が争点となる中、被告が涙を流す姿や、自殺を図ろうとした様子が映し出された。

 被告は商標法違反罪で起訴された14年2月18日午前の検事の取り調べで殺害を初めて自白したとされる。録音・録画は同日夕から始められた。検事が「午前中に殺害を認めたのを覚えているか」と聞くと、被告はしばらく沈黙した後、「パニックになった。覚えていない」と語った。

 同月21日には、肩を震わせて泣き続ける被告に、検事が「拓哉、なんで泣いているんだ」と質問。被告は「代わりに自分が死ねばいいと思うくらい、申し訳ない気持ちがある」と答えた。女児を誘った方法を問われると、「『お母さんが大変だから病院に連れて行く』と言ったら、車に乗ってきた」。凶器を捨てたのは「山」と話した。

 同月25日には、被告が「弁護士のアドバイスで黙秘権を使いたい」と告げると、検事が語気を強めた。「すごいやつだな、おまえ。自分がかわいくてしょうがないんだな。ひきょうだぞ。いつまでも遺族に恨まれ続けて生きればいい」。その直後、被告が「もう無理」と大声で泣きわめきながら、取調室の窓に突進する様子が映された。

 警察も、殺人容疑で逮捕した同年6月3日以降の取り調べを録音・録画している。約80時間の映像のうち、裁判員らの負担も考えて検察、弁護側で合意した7時間超を再生する予定。

 この日はまた、千葉大大学院の岩瀬博太郎教授(法医学)が検察側の証人として出廷。「05年12月2日未明に茨城県常陸大宮市の山林でナイフで女児の胸部を刺して死亡させた上、遺体を山林斜面に投げ入れた」という被告の自白内容について、解剖の記録や写真などを確認したところ「矛盾はない」と証言した。(岩佐友、山下裕志)