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 関西電力は10日夜、高浜原発3号機(福井県)の原子炉を停止させた。大津地裁が高浜3、4号機の運転を差し止める仮処分決定を9日に出したためで、運転中の原発が裁判所の判断で止まるのは初めて。国内で動いている原発は、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)のみとなった。

 関電は10日午前10時、核燃料の間に核分裂反応を抑える制御棒を入れ始めた。午後5時過ぎ、3号機の中央制御室で運転員がレバーを操作し、発電機と送電線を切り離した。午後7時59分に核分裂が止まった。

 高浜3号機は1月29日に再稼働し、2月26日から営業運転に入っていた。4号機は2月26日に再稼働したが、3日後の29日に変圧器周辺のトラブルで緊急停止したため、原子炉を冷温停止の状態に戻した。

 関電は11日以降、大津地裁に仮処分決定の効力を一時的に止める執行停止や、取り消しを求める保全異議を申し立てる方針だ。認められなければ、高浜3、4号機を動かすことができない。福井地裁は昨年4月に3、4号機の運転を差し止める仮処分決定を出したが、関電が保全異議を申し立て、地裁は同12月に処分を取り消した。

 安倍晋三首相は10日夕の記者会見で、「(東日本大震災後の新規制基準に適合した原発の再稼働を進める)方針に変わりはない」としたうえで、関電に対して「安全性に関する説明を尽くしていくことを期待したい。政府もそのように指導していく」と述べた。

 高浜3、4号機の出力は、それぞれ87万キロワット。関電は3号機を止めた分の電気をまかなうため、石油火力発電所の御坊(ごぼう)1号機(和歌山県、出力60万キロワット)と相生(あいおい)2号機(兵庫県、37・5万キロワット)を動かし始めた。関電は他の電力会社からの「応援融通」なしでもこの冬を乗り切れるという計画を立てており、3号機の停止後も「安定供給できる」としている。(大久保直樹、伊藤弘毅)