【動画】東日本大震災から5年を迎えた被災地の一日
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 宮城県女川町の離島、出島(いずしま)でホヤ養殖を営む阿部勝三郎さん(66)は、11日午前7時前、船の上から日本酒を海に注いだ。津波で亡くなった兄の勝治さん(当時69)が好きだった酒だ。「天国でわいわい酔っ払ってな」との思いを込めた。

 5年前、勝治さんは、自宅で津波に襲われた。行方が分からないままだったが、女川原発近くで発見された遺体の一部が、DNA検査で勝治さんのものと判明した。

 阿部さんは、長年、同じ船で漁をともにしてきた。「生きていたら今でも一緒に仕事していたはず」と悔しがる。同島では勝治さんを含め、25人が津波に命を奪われた。

 震災後、出島は人口流出が深刻だ。女川町によると11年2月は499人だったが、16年同月は255人と半減。島で養殖の仕事を続けながらも、自宅は便利な本土に移し、通って来る漁師もいる。1校ずつあった町立の小中学校が閉校したのも、人口減に輪をかけた。

 「後継者不足で島が無くなる怖さがある」と阿部さん。それでも、「兄の分まで、90でも100歳でも、体が動く限り漁に出る」と話した。

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 地震と津波で多くの命が奪われたあの日から5年を迎えた11日。東北沿岸部の光景や人々の表情を、写真でお伝えします。(竹花徹朗)