自殺した広島県府中町立中学3年の男子生徒(当時15)は、万引きをしたという理由で私立高校への推薦を得られなかった。「冤罪(えんざい)」だったが、町内二つの中学校のうちもう1校は、触法行為があれば推薦しないという取り扱いそのものがなかった。同町に限らず、進路指導を巡る非行歴の取り扱いは校長の判断に委ねられている。生徒の非行歴は、入試時の推薦基準に用いられるべきなのか。

 生徒が通っていた府中緑ケ丘中学校は、生徒の万引きや傷害といった触法行為があれば、一律で私立高校受験の推薦を受けられないという基準を設けてきた。

 同校は推薦を認める条件として一定以上の成績を収めること、3年時に不登校でないことに加え「教師の指導に従い、問題行動や触法行為がないこと」と基準で定めていた。

 坂元弘校長によると、基準は遅くとも2008年度にはあった。背景には、私学に推薦入学した生徒が直後に問題行動を起こしたため、同校の推薦枠を取り消されたことがあるという。「学校として胸を張って推薦できる生徒を推薦すべきだ」などの理由で基準を設けてきたという。

 同校は13年度、1年生約200人のうち延べ146人が問題行動で指導を受ける「荒れ」の状況にあった。生徒たちが受験を控えた昨年11月、「3年間まじめに努力してきた生徒を推薦することが高校の信頼に応えること」と推薦基準を厳格化。中1当時にさかのぼり触法行為があれば推薦しないこととしたが、男子生徒の自殺後に撤回した。

 一方、同じ府中町の町立府中中学校は、推薦基準の項目に「学習に意欲的」「指導に従って生活できる」などはあるが「触法行為」はない。木村通幸校長は「法に触れる行為をすれば考慮はするが、あくまで総合的な判断」と話す。

 私学への推薦基準について、広…

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