天皇、皇后両陛下は16日、福島県三春町の葛尾村役場三春出張所を訪れ、仮設住宅団地で生活する被災者らと懇談した。葛尾村は原発事故で全村避難が続いており、周辺で生活する被災者ら約300人が集まり、両陛下を出迎えた。

 天皇陛下は代表者との懇談で、葛尾村農業委員会の松本敏美さん(65)に「除染の問題があったからずいぶん苦労されたでしょう」「風評被害に苦労されたんじゃないでしょうか」と放射能に伴う影響について繰り返し語りかけた。

 避難先で日用雑貨を販売する佐藤英人さん(75)は避難指示解除後、村で営業を再開したいと伝えると、天皇陛下は「そういう商店ができてくると地域の人々も喜ぶでしょうね」と声をかけた。

 天皇陛下は懇談の終わりに、全員を前に「いろいろこの地域でもご苦労が多かったと思いますが、よりよいものがつくられていくことを願っています」と語った。

 懇談後の取材に、仮設住宅内で食堂を営む石井一夫さん(60)は「前に一歩踏み出そうという勇気をいただきました」と笑顔を見せた。

 両陛下は震災直後から被災地に何度も足を運んできた。宮内庁幹部によると、震災が風化することを気にかけているといい、今回の訪問は「5年が過ぎた後も被災地を思い続けるというお気持ちの表れ」と話す。(島康彦