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 震災への思いをペダルをこいで届けたい――。ボランティアで東北の被災地を訪れたのを機に、自転車で日本を一周し、被災地への応援メッセージを集めた主婦がいる。神戸市中央区の叶(かなえ)佐枝子さん(64)。東日本大震災5年のこの春、再び自転車で東北を目指す。

■福島訪問がきっかけ

 叶さんは神戸で生まれ、そろばん教室を長年営んできた。阪神・淡路大震災では、親戚を2人亡くした。東日本大震災が起きると、そろばん教室の生徒らと応援のメッセージや絵を被災地に送った。

 2013年5月、ボランティアで福島県南相馬市を訪れた。海岸近くは津波で全てが流され、雑草の生えた場所には押し流された車や船が見えた。訪れた保育所は震災後に子どもの数が4分の1に減り、原発事故の影響で「外出を控えている」という話も聞いた。

 阪神大震災とは違う規模の被害を目の当たりにし、「震災への思いをつなぎたい」と思った。自分に何ができるのか。自転車なら各地を回り、多くの人の気持ちを受け止められる、と考えた。

 そろばん教室の経営を親戚に託し、その年の9月、応援メッセージを書いてもらう白い布(幅約30センチ、長さ約10メートル)を積み、神戸を出発。14年9月まで5回に分けて、北海道から沖縄まで計約1万キロを走った。