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 兵庫県姫路市で2001年に起きた郵便局強盗で懲役6年の判決が確定し、服役したナイジェリア人男性(39)が裁判のやり直しを求めた再審請求について、大阪高裁(笹野明義裁判長)は15日、請求を棄却した神戸地裁姫路支部の決定を取り消し、審理を神戸地裁に差し戻した。男性側に十分な反証の機会を与えず、実行犯でなくとも共犯の可能性があるとした支部決定は違法と判断した。

 確定判決によると、姫路市内で輸出会社を営んでいた男性は、同じナイジェリア人の親族の男(37)=強盗罪で実刑確定、強制退去=と共謀。01年6月19日午後3時すぎ、2人で市内の郵便局に押し入り、職員をモデルガンで脅して2275万円を奪ったとされた。

 強盗容疑で逮捕・起訴された男性は「当時は友人宅でテレビを見ていた」と否認し、親族の男も自らの犯行を認めつつ「共犯者は別の外国人の男」と主張。だが、神戸地裁姫路支部は04年1月、事件翌日までに犯行車両や被害金が男性の会社事務所で見つかった点を重視し、懲役6年を言い渡した。大阪高裁、最高裁も追認し、刑が確定した。

 男性が09年に刑務所を出た後、弁護団は「男性は犯人ではない」として12年3月に地裁姫路支部に再審を請求。しかし、地裁姫路支部は14年3月、男性について「実行犯でないとしても共犯の一人という強力な推認は妨げられない」と指摘。再審請求を認めるには「確定判決に合理的な疑いを生じさせるだけでは足りない」と述べて棄却した。

 この日の高裁決定は、この事件では「男性が実行犯か否か」がほぼ唯一の争点だったのに、地裁支部は「実行犯以外の共犯の一人」という新たなストーリーを持ち出し、「不意打ち」で男性を犯人と認定したと指摘。男性側に十分な反論の機会を与えておらず、防御権を侵害する違法なやり方だと述べた。

 さらに、男性の会社事務所で見つかった犯行車両や被害金について、男性以外の第三者が持ち込めた可能性を検討しておらず、審理を十分に尽くしたとはいえないと判断した。

 大阪高検の北川健太郎次席検事は「決定内容を検討し、適切に対処する」とコメントした。(阿部峻介)