大阪市立中学校の男性校長が全校集会で「女性にとって最も大切なのは子どもを2人以上産むこと」などと発言したことが波紋を呼んでいる。市の教育委員会は「不適切発言」として処分を検討しているが、ネット上では発言に批判的な書き込みが多いものの支持する声も根強く、論争が続いている。

 発言は、大阪市鶴見区の市立茨田北(まったきた)中学校の寺井寿男校長(61)が2月29日朝の全校集会で述べたもの。「子どもを2人以上」のあとに「これは仕事でキャリアを積むこと以上に価値があります」「子どもが生まれなくなると、日本の国がなくなってしまうからです」などと続けた。

 生徒たちはどう受け止めたか。1年の女子生徒は集会のあとクラスの女子4、5人と感想を言い合った。「ひくわ」「なぜあんなこと言うんやろ?」。全員が校長の発言に否定的だったという。

 校長は「子育てのあと、大学で学び専門職に就けばいい」とも言った。女子生徒は「私はまず大学に行きたい。女性だけが年を取って入学するなんておかしい」。別の1年の女子生徒は「勉強するのも記憶力や集中力がある若いときの方がいい」と言った。

 2年の男子生徒は「男だろうと女だろうと、人生の大切な選択を他人に決められるべきではないと思う」。別の2年の男子生徒は「校長の言葉遣いは悪かったけど、少子化が深刻なのは間違いないと思う」と理解も示す。「でも、2人以上産むべきって中学生の僕らに言われても、どうしようもできない」(大貫聡子)

■「想像力ない」「メディアが騒ぎすぎ」

 大人たちはどう受け止めたか。平日の夕方、大阪・御堂筋で聞いた。

 将来は子どもを産みたいという京都市の女性会社員(33)は「子どもを産んでこそ一人前と、上から目線で言われている気がした」。3人の子どもを育てる大阪府枚方市の男性会社員(39)も「子どもの数が減っているから産んで増やせというのは短絡的だ」と批判的だ。

 一方、兵庫県芦屋市の会社役員の男性(47)は「校長はキャリアと同じくらい子育ても大切と言っただけ」と支持する。「女性の社会進出が100%正しいとは思わない」「メディアが騒ぎすぎ」といった意見もあった。

 子どもを産みたくても産めない人もいる。2年前から不妊治療を続ける福岡市の非常勤職員の女性(43)は一昨年に体外受精したが、うまくいかなかった。「私には仕事がある。子どもがいない生き方もあっていいかも」と自らを励ましていた。校長の言葉は胸に刺さった。「お金がなかったり仕事と両立できなかったり、望んでも子どもを産めない女性もいる。マイノリティーへの想像力がない」

 2児の父で、病児保育を手がけるNPO法人フローレンスの駒崎弘樹代表理事(36)は「国家の存続が個人の意思決定より優先する価値観が発言の土台にある」と感じる。「出産や子育てについて、まず言うべき相手は中学生ではなくて政治家。子育ての環境を良くするのは私たち大人の責任のはずだ」(山中由睦)

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