春闘は16日、大手企業の多くが回答を労働組合に伝える一斉回答日を迎えた。自動車や電機を中心に賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)を行うとする回答が相次いだが、金額は多くの企業で前年と比べて下がった。新興国経済の低迷などで景気の不透明感が強くなり、経営側が人件費増に慎重になったためだ。

 一時金(ボーナス)は満額回答が目立った。業績に合わせて増減しやすく、その年限りで、経営側にとってベアよりも出しやすい。

 自動車や電機でのベア実施は3年連続。金額が下がったことで、大手の回答状況をみて交渉を本格化させる中小企業にどう影響するかが今後の焦点となる。

 春闘相場の牽引(けんいん)役とされるトヨタ自動車のベア回答は要求額の3千円の半分の月1500円。いまの要求方法になった2002年以降で過去最高だった前年の4千円と比べると4割にも届かなかった。一方で、一時金は年7・1カ月分と労組の要求通りの回答で、前年実績より約10万円多い257万円となる計算だ。

 記者会見した上田達郎常務役員によると、豊田章男社長は賃上げを労組に示した同日午前の労使協議会で「経営環境は率直に言って潮目が変わったと考えている」と話したという。

 日産自動車は労組の要求通りの月3千円のベアを回答した。ただ、労組の要求そのものが、前年実績の5千円から下がったなかでの交渉だった。ホンダは、部品大手タカタ製のエアバッグの大規模リコール(回収・無償修理)問題などで業績がふるわないことが回答額に影響したとみられる。

 回答額をそろえる慣習がある日立製作所やパナソニックなどの電機大手も、ベアの回答は1500円(要求は3千円)で、前年の半分となった。多くが中国経済や原油価格の先行き不安で、今年に入り、業績見通しを下方修正している。固定費増が将来の経営の自由度を狭める恐れがあると判断した。

 一方で、2年に1度交渉する方式の新日鉄住金は、前回14年の交渉で、消費増税分を十分反映できていなかったとの認識が労使にあり、前回より上積みした。