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 裁判のやり直しが決まった大阪市東住吉区の小6女児死亡火災で、大阪地検は16日、無罪の可能性が高いとされた母親の青木恵子さん(52)ら2人の再審公判で、これまでの有罪主張を撤回し、弁護団の無罪主張を受け入れる考えを示した。上級庁の意向も踏まえて再検討した結果、新たな有罪立証は難しいと判断したとみられる。2人は事件発生から20年余りを経て無罪が確定することになる。

 青木さんの内縁の夫だった朴龍晧(ぼくたつひろ)さん(50)の初公判は4月28日に開かれることが決まり、判決は8月の見込み。青木さんの初公判は5月になる見通しだ。

 青木さんと朴さんは1995年7月に保険金目的で自宅に放火し、長女(当時11)を殺害したとして無期懲役が確定。だが大阪高裁が昨年10月、車庫の軽ワゴン車のガソリン漏れによる自然発火の可能性を認め、再審開始を決めた大阪地裁の判断を維持する決定を出し、2人は釈放された。

 検察側は今年2月の車の実況見分で、ガソリン漏れの明確な痕跡は確認できないと判断。自然発火の可能性は低く、捜査段階の自白は信用できるとした主張を続ける方針をいったん固めたが、この日午前にあった朴さんの弁護団との非公開の協議で「証拠を見直した結果」として撤回の方針を伝えた。上級庁の意向も踏まえて再検討し、放火を裏付ける有力な物証はない▽事件から20年以上がたって新たな証拠収集も困難といった理由から最終的に方針を転換したとみられる。

 協議後、朴さんは「びっくりしました。検察が率直に事実を受け止めてくれたものと思います。再審公判でも無実を訴えます」とコメント。青木さんも「うれしい。ただ、もっと早くしてほしかった」と弁護団を通じて述べた。朴さんの弁護団の乗井(のりい)弥生弁護士は会見で「当然の結論。早く無罪を確定させ、普通の市民生活を送らせてあげてほしい」と話した。(阿部峻介)

■小6死亡火災再審の経過

<1995年7月>青木恵子さんと朴龍晧さんの自宅車庫から出火。入浴中の長女が焼死<9月>

大阪府警が青木さん、朴さんを殺人、現住建造物等放火の疑いで逮捕、大阪地検が起訴。翌10月に保険金の詐欺未遂容疑で再逮捕、追起訴

<99年3月>大阪地裁が朴さんに求刑通り無期懲役判決。5月には青木さんにも無期懲役判決

<2004年11月>大阪高裁が青木さんの控訴棄却。翌12月には朴さんの控訴も棄却

<06年11月>最高裁が朴さんの上告棄却。翌12月には青木さんの上告も棄却

<09年7月>朴さんが地裁に再審請求。翌8月に青木さんも

<12年3月>地裁が2人の再審開始を決定。地検が即時抗告

<15年10月>高裁が再審開始を支持し、2人の釈放も認める。検察は特別抗告を断念

<16年3月>地検が有罪主張の撤回方針を弁護団に伝える