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 リオデジャネイロ五輪の柔道日本代表を決める時が刻一刻と迫ってきた。

 代表を決める全日本選抜体重別選手権(4月2、3日・福岡)、全日本女子選手権(同17日、横浜)、全日本選手権(同29日、東京)後にそれぞれ実施する3回の強化委員会について、発言者を匿名にするなど若干の条件は付くものの、報道陣に公開することにした。選考過程を透明化することが狙いだ。暴力問題などで社会に迷惑をかけた柔道界が変わってきたことを、少しでも多くの方々に知って頂きたい。

 公開は、昨年の選抜体重別選手権後の強化委で初めて実施した。私の発案だった。反対意見もあり、「独裁」と耳の痛い言葉をささやかれながらも公開に踏み切ったのは、五輪イヤーである今年にどうしても公開したかったからだ。

 理由は二つある。

 1992年のバルセロナ五輪後から2000年のシドニー五輪まで8年間、私は代表男子の監督を務めた。その際、我々は公正な視点で主観を交えずに代表を選んだつもりだったが、世間はそうは見てくれなかった。大小の国際大会をつぶさに見ている人は極めて少なく、最終選考会である選抜体重別選手権の印象が強く残ってしまうためだ。「私情や所属組織の思惑で代表が選ばれている」と記事に書かれて、正直悔しい思いをした。いずれ自分が強化委員長になったら会議を公開し、我々が真剣に公正に取り組んでいることを証明したいと思っていた。

 もう一つ、私は13年6月から日本オリンピック委員会(JOC)のアントラージュ専門部会の部会長に就いた。アントラージュ部会とは、アスリートを取り囲む環境の問題点を理解し、よりよいものに整備していくにはどうすればいいかを考える場だ。

 様々なスポーツのトップ選手に集まっていただき、問題点を整理したところ、世界大会の代表を決める選考の在り方に対する意見が大きかった。「もっと選手や一般の人が納得いく代表選考をしてほしい」と。そこで私は、柔道が会議を公開すれば様々なスポーツでも代表選考の過程が透明化されるのではないか、と思った。

 この二つの思いで、私は公開に向けて動いてきた。

 世界選手権や五輪で勝てるかは、外国人選手を相手に結果を残せるかだ。だから、最終選考会の選抜体重別で優勝しなくても、代表に選ばれる選手は半数くらいいる。この傾向は今後も続くと思う。

 将来的な選考方法について個人的な考えを言えば、「こいつしかいない」という選手がいれば、早く決めてあげた方が準備しやすいと思う。20年の東京五輪は、選手の重圧は今回の比じゃない。東京五輪まで残り4カ月の時期に実施する選抜体重別でなく、例えば、前年の12月にある国際大会「グランドスラム東京」での結果で内定を考えてもいい。

 マラソンの代表選考が話題となっているが、日本陸上競技連盟は選考に外部有識者を入れているそうだ。どの団体も出来るだけ透明性を高めて、多くの方の理解を得る努力をしている。

 私は「透明性を高めるのは選手のため」との思いで動いているが、強化委公開に対する選手の本音も聞いてみたい。柔道界も常にいい方向にブラッシュアップしなければいけない。(朝日新聞社嘱託 山下泰裕)

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