米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)は16日、金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)で、追加の利上げは見送ることを決めた。世界経済の先行き懸念が主な理由で、参加者らによる今年の利上げペースの見通しも、昨年12月に想定していた4回から2回に引き下げられた。

 声明では、米国経済は「ここ数カ月の世界経済や金融市場の動向にもかかわらず、緩やかに拡大している」と言及した。前回1月の「昨年末に減速した」からは、景気判断を引き上げた。一方で、今後も緩やかな回復が続くとの見通しは維持しながらも、世界経済の動向が「引き続きリスクとなっている」と指摘。政策金利は1月に続いて現状のまま据え置き、利上げを見送った。判断は賛成9人、反対1人だった。

 イエレン議長は記者会見で、「この数週間で先行きのリスクは減ったが、まだ残っている」と述べた。世界経済の動向を問われると「中国は想定通り減速し、日本の昨年10~12月期のマイナス成長はやや驚きだ。ユーロ圏の最近の指標もわずかな弱含みを示している」と答えた。

 FRBは昨年12月、米国内の雇用環境などが着実に回復しているとして、約9年半ぶりの利上げに踏み切った。当初はこの3月にも追加利上げをするとみられていたが、中国など世界経済の減速懸念や原油安、株安などの金融市場の混乱が続き、想定の修正を余儀なくされた。市場では、イエレン氏の記者会見がある次々回の6月の会合で、利上げするとの観測が広がっている。

 注目されていた今後の利上げペースは、17人の会合参加者のうち9人が、年内にあと6回ある会合のうち「2回」と予想した。イエレン氏は「見通しは参加者各自の予想であり、決められた道筋ではない」として、判断はあくまで経済状況次第との姿勢を強調した。

 FRBが重視する指標の一つの物価上昇率は、「年2%」の目標を下回るが、最近は改善の兆しをみせている。このため、声明には「ここ数カ月で上昇した」との文言が入った。原油安やドル高の影響などがなくなれば、やがて目標に近づくとの見通しも維持した。会合参加者らは、物価上昇率は2018年末に目標の2%に達すると予想している。(ワシントン=五十嵐大介

■FOMCの声明と見通しのポイント

・政策金利を年0.25~0.50%に据え置く

・米国経済は緩やかに拡大している

・世界経済と金融市場の動向が引き続きリスク

・雇用環境は力強さを増した

・物価上昇率はここ数カ月で上向いたが、「年2%」の目標は下回る。原油安やドル高の影響がなくなれば、やがて目標に近づく

・今年の利上げペースは、参加者の多くが2回を予想。昨年12月時点の「4回」から減速

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