長く所在不明だった夏目漱石の小説「道草」の自筆原稿18枚を神奈川県内の個人が所蔵していることがわかり、26日から横浜市の神奈川近代文学館で公開される。漱石の小説の原稿がまとまって見つかるのは珍しい。原稿のあちこちに書き込みや削除の跡がみられ、創作過程がうかがえる。

 「道草」は1915年6月3日から9月14日まで全102回にわたり朝日新聞に連載され、同年10月出版された。養父との再会を機に、養父母と実家の双方から「物品」のようにやりとりされた過去を回想、今なおその人間関係に絡め取られる主人公の苦悩を描く。養子に出され、また実家に戻った漱石自身の複雑な生い立ちを映し出す自伝的作品で、主人公・健三は漱石の分身とも言われる。

 見つかった原稿は新聞連載「十六」「十七」の2回分。養父が健三の家を訪ね、20年余ぶりに言葉を交わす場面だ。「漱石山房」のロゴのある原稿用紙に書かれて台紙に貼られ、折り本状に製本されていた。帙(ちつ)(和本の覆い)とふくさに包まれた上で、縦約28×横約22センチの桐箱(きりばこ)に保管されていた。26日から始まる「100年目に出会う 夏目漱石」展(神奈川近代文学館、神奈川文学振興会、朝日新聞社主催)を準備していた同館が昨年11月に確認、前後の原稿との比較や筆跡から漱石の自筆と判断した。

 「道草」原稿の大部分はすでに…

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