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 東日本大震災の津波に耐え、復興のシンボルになった岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」の命を継ぐ苗木が19日、震災5年をへて、島根県出雲市の出雲大社に植樹された。

 一本松は、国の名勝「高田松原」の7万本のうち、唯一生き残った。NPO法人「高田松原を守る会」副理事長の小山(おやま)芳弘さん(64)が、会のメンバーらと延命作業などで通ううちに、一本松の枝を拾った。

 一本松は2012年5月に枯死が確認されたが、小山さんが持ち帰って接ぎ木した苗木は約1メートルに成長。漫画家の故・やなせたかしさんに依頼し、「ケナゲ」と名付けてもらった。

 出雲大社に植樹するのは、全国から観光客が訪れる場所で、「大震災を忘れさせない存在になってほしい」との願いからだ。岩手県によると、陸前高田市では今も205人が行方不明で、約3千人が仮設住宅で生活している。

 植樹には、小山さんをはじめ、出雲大社の千家尊祐宮司や長岡秀人・出雲市長らが参加。境内の「松の参道」近くに植えられた苗木の根元にそれぞれ土をかけた。千家宮司は「将来、守る会と協力して、ケナゲの2世、3世の苗木を全国に広げることができれば」、小山さんは「被災地の街並みや被災者の心の復興を象徴するよう、立派に育ってほしい」と話した。(今林弘)