[PR]

 指定暴力団山口組(神戸市)と、分裂して結成された神戸山口組(兵庫県淡路市)との対立抗争とみられる事件が20日、大阪と神戸、東京で相次いだ。警察庁が7日に両団体が対立抗争状態にあると認定し、全都道府県警に取り締まりの強化を指示した後も歯止めがかかる気配はない。

 20日午前3時35分ごろ、大阪市中央区谷町6丁目の空堀(からほり)商店街で事務所に車が突っ込んでいる、と通行人から110番通報があった。大阪府警の捜査員が駆けつけたところ、山口組直系の「織田組」の事務所前に乗用車が後ろ向きで乗り捨てられ、郵便受けなどが壊れていた。事務所内に組関係者2人がいたが、けが人はいなかった。

 捜査関係者によると、19日に神戸市で神戸山口組系の組事務所にダンプカーが突入した事件の報復の可能性があるという。近くで飲食店を経営する男性は「商店街の中だし、こんなことが起きると思わなかった。エスカレートしているみたいで怖い」と話した。

 神戸市須磨区妙法寺の住宅地では20日午前3時50分ごろ、山口組の中核組織・弘道会系の組事務所の窓ガラスが割られ、室内が荒らされているのを警戒中の須磨署員が見つけた。署によると、室内の防犯カメラのモニター全4台が壊され、食器棚が倒れて食器が散乱していた。当時は無人だった。近くの60代女性は「抗争の巻き添えになるのが一番こわい」と話した。

 東京都足立区の路上では20日午前3時ごろ、ケンカの110番通報で警察官が駆けつけると、山口組と神戸山口組系組員ら二十数人が小競り合いを起こしていた。警視庁によると、山口組系組員の男(41)ら3人がけがをしたといい、この場にいた自称阿部利幸容疑者(47)を暴力行為等処罰法違反容疑で逮捕した。

 相次ぐ衝突について山口組系のある組幹部は「基本的には山口側と神戸側それぞれの中核組織の応酬だが、それ以外では、神戸側へ移籍するか態度を保留してきた山口組の直系団体が標的にされている。車の突っ込みは『こっちに来るのか』と意思表示を求めるメッセージ」と話す。

 大阪府警幹部は「関東での衝突が目立っていたが、関西でも連鎖的に起き始めた。商店街にある組事務所が狙われた事件は、市民が巻き込まれる恐れがあり、特に悪質だ」と警戒する。

 「『やられたらやり返す』が暴力団の論理。これだけ火がついたら簡単に収まらないだろう。長期戦を覚悟している」と兵庫県警の捜査関係者。捜査幹部は「事務所周辺の警戒と事件検挙。この両輪で地道に臨むしかない」と話した。