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(20日、全日本競歩能美大会 男子20キロ競歩)

 男子20キロ競歩の松永は、ゴールするなり、ガッツポーズをした右手で目頭を押さえた。2月の日本選手権は残り500メートルで歩型違反で失格した。「この1カ月、不安で仕方なかった。やっと振り払えた」。涙は止まらなかった。

 失敗を乗り越えてきた競技人生だ。原点にも「失格」がある。

 横浜高1年で長距離走から転向し、初めて全国の舞台に臨んだ高2の高校総体でトップでゴールした後に失格を告げられた。途中で片足のシューズが脱げ、直射日光に照らされたトラックの暑さに耐えた努力は報われなかった。

 悔しさはバネになる。同世代のトップ選手に成長し、昨年度は世界ジュニア選手権で金メダル。だが、シニアの壁は厚かった。世界選手権出場に初めて挑んだ昨年のこの大会。残り20メートルで後ろの選手に並ばれ、同タイムながら胸の差でかわされて代表を逃した。

 この日は、左腕に「その1秒をけずりだせ」と書いてもらった。箱根駅伝で有名になった東洋大の長距離勢の合言葉を見て、気を引き締めた。「リオでは金メダルを目指して頑張りたい」。失敗を繰り返しながら、高みを目指す。(増田創至)