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 兵庫県川西市で2012年9月、県立高校2年の男子生徒(当時17)が自殺したのはいじめが原因と訴え、両親が当時の同級生3人と県側に計約8860万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、神戸地裁であった。伊良原(いらはら)恵吾裁判長はいじめを認定したうえで自殺は予測できなかったと判断。「人格を深く傷つけ、大きな精神的苦痛を生じさせた」として慰謝料計210万円のみ命じた。

 判決によると、生徒は新学期の12年4月以降、同級生3人に「ムシ」と呼ばれ、蛾(が)の死骸を教室の椅子の上に置かれるといったいじめを受けた。2学期の始業式前日の9月2日、自宅で首をつって亡くなった。

 判決は「自殺がいじめに起因するとみることに合理的な疑いを挟む余地はない」と判断。担任教諭らもクラス内のトラブルからいじめに気づけたのに漫然と放置したとして、安全配慮義務違反を認めた。一方で「苛烈(かれつ)な暴行など重大な苦痛を与え続けたものではない」と指摘。同級生や担任教諭らが自殺を予測することまではできなかったと述べ、法的な責任の範囲は生徒が受けた精神的苦痛にとどまると判断した。

 この問題では、学校の第三者委員会が「いじめと自殺を直接結びつけるのは困難」とする一方、川西市の第三者機関は「自殺の原因となった可能性は極めて高い」と異なる見解を示した。元同級生3人は13年12月、生徒への侮辱の非行内容で保護観察処分とされ、神戸家裁決定も「自殺を決意した理由は明らかでない」としていた。(佐藤啓介)