[PR]

 約300人が死傷したベルギーの首都ブリュッセルでの連続テロで、捜査当局は23日、自爆テロ犯だとしてベルギー国籍の兄弟の名前を公表した。弟は、昨秋のパリ同時多発テロの容疑者が潜伏したアパートの借り主だったとされる。二つのテロのつながりが濃厚になってきた。

 23日昼時点で死者は31人、負傷者は270人。地元メディアは当初、死者34人と伝えたが、捜査当局が公式な数字として示した。「さらに増える可能性がある」という。負傷者には日本人男性2人が含まれ、そのうちの1人とみられる男性が手当てを受けている病院によると、意識不明だという。もう1人は軽傷だった。

 捜査当局の発表によると、ブリュッセル空港では22日午前7時58分、出発ロビーのカウンター付近で最初の爆発が起きた。そのわずか9秒後、隣り合うカウンターで爆発が続いた。

 監視カメラの3人の映像のうち1人は、現場に残った指紋からイブラヒム・バクラウィ容疑者(29)だったと認定。自爆死したという。もう1人、自爆死した男がいるが、身元は分かっていない。

 白い服を着た3人目の男は、爆発物が入ったカバンを現場に残して逃走した。欧州メディアはナジム・アシュラウィ容疑者(24)だとしている。パリのテロで実行部隊づくりに中心的役割を果たしたとして逮捕されたサラ・アブデスラム容疑者(26)とドイツやオーストリアで行動をともにしていたとされ、指名手配中の人物だ。

 捜査当局は、3人を空港に運んだというタクシー運転手の供述に基づき、ブリュッセル市内の5カ所で家宅捜索を実施。北東部スカルベーク地区のアパートからは高性能の爆発物や起爆装置、くぎの入ったスーツケースなどが見つかった。また、アパートの近くのゴミ箱から見つかったパソコンには「思い悩んでいる時ではない」などとする、遺書めいたイブラヒム容疑者の言葉が残されていた。

 約1時間後に起きた地下鉄マルベーク駅の爆発についても、捜査当局は自爆だったと説明した。街の中心部に向かう列車が駅を出発しかかった直後、車内で爆発が起きた。現場に残った指紋などから、イブラヒム容疑者の弟のハリド容疑者(27)が自爆したと特定したという。ハリド容疑者は、偽名を使ってブリュッセル南西部にアパートを借りており、3月18日に拘束されたアブデスラム容疑者をかくまったとされる。

 次々と浮かぶブリュッセルとパリの接点に対し、仏テレビは「アブデスラム容疑者の逮捕に対する報復だとベルギーの対テロ当局はみている」と伝えた。

 一方、ロイター通信は、シリア和平協議の代表団を率いるジャファリ・シリア国連大使の発言として、ベルギーでの数人のテロ実行者はシリアでの戦闘経験があると伝えた。(ブリュッセル=吉田美智子、青田秀樹)