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 らい予防法を根拠とした国の誤ったハンセン病隔離政策によって差別や経済的な被害を受けたとして、元患者の家族が国家賠償法に基づいて初めて起こした集団訴訟で、全国の509人が29日、熊本地裁に新たに提訴した。原告は2月に提訴した59人と合わせて568人になり、1人あたり500万円の損害賠償と謝罪を国に求めている。

 弁護団によると、新たに提訴した509人は23~96歳の男女。60~70代が250人を超える。元患者の子のほか、発症時に同居していた親や兄弟姉妹、孫、おいやめいも含まれる。地域は九州・沖縄が333人で、その4分の3が沖縄。ほかに関東が58人、近畿が48人、中部が27人など。

 国がハンセン病療養所への隔離政策を続けたことで、社会に差別や偏見が広がり、家族の離散や苦しい生活を余儀なくされたことなどを訴えている。

 提訴後の記者会見には新たに提訴した2人も臨んだ。大島青松園(高松市)で暮らした詩人の故・塔和子さん(享年83)の弟、井土一徳さん(80)=高知県=は「何も悪いことをしていないのに、隠れて生きてきた。すべての家族の思いがこもった裁判で、人としての尊厳を取り戻したい」と語った。

 両親がいた宮古南静園(沖縄県宮古島市)で誕生後、祖母に育てられた奥平光子さん(58)=同市=は「いまだに家族への差別があり、周りに言えない人がいる現状を国は認め、解決してほしい」と訴えた。

 弁護団の徳田靖之共同代表は「509という数字には驚いている。家族として苦難の人生を歩んできた人たちは数千人いるはず。どうしてこうなったのか、社会や国の責任を徹底的に明らかにしたい」と話した。

 らい予防法の廃止から今月末で20年となり、その後は国の隔離政策への民法上の損害賠償請求権がなくなるため、集団提訴は今回が最後だという。(籏智広太)