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 他人に商品を紹介し、購入してもらえば紹介料が入ってもうかるなどと誘う「マルチ商法」の日本人関係者が、インド洋の島国セーシェルのタックスヘイブン(租税回避地)に会社を所有していたことが、南ドイツ新聞と国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が入手した秘密ファイル「パナマ文書」からわかった。

 連鎖販売取引ともいわれるマルチ商法は取引自体は違法ではないが、会員が増えるのに伴い、扱う資金量も膨らむのが特徴。悪質業者の間では当局の目を逃れるため、集めた資金をタックスヘイブンの会社に移す手法が横行しているとされ、ICIJも「犯罪がらみの財産隠しの温床になっている」と指摘する。

 タックスヘイブンに会社を所有していたのは兵庫県の男性(41)。2013年8月、別の日本人から譲渡される形で会社を約50万円で取得したという。訴訟記録などによると、06年9月から1年間で延べ800人から約3億円を集めたが、男性は一部の人たちから「架空の投資話で出資金をだまし取られた」と返還を求められ、裁判所で約3600万円の支払いを命じられている。

 この男性は朝日新聞の取材に対し、マルチ商法で3億円を集めたことを認めたうえで「悪質なマルチ関係者の多くがタックスヘイブンに会社を持っている」と語った。男性は裁判所の支払い命令に応じておらず、自らの会社については「海外でネットビジネスを始めようとしただけ」と述べ、資金隠しの目的を否定した。(五十嵐聖士郎)