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 2014年2月の東京都知事選で落選した後に運動員らに現金を配ったとして、東京地検特捜部は14日、軍事評論家で元航空幕僚長の田母神(たもがみ)俊雄容疑者(67)=東京都世田谷区=を公職選挙法違反(買収)の疑いで逮捕し、発表した。

 田母神容疑者の陣営で選挙対策本部事務局長を務めた会社役員の島本順光(のぶてる)容疑者(69)=同墨田区=も、同法違反(買収、被買収)の疑いで逮捕した。特捜部は14日、田母神容疑者の自宅などを再捜索した。

 発表によると、田母神容疑者は都知事選後の同年3月、選挙運動の報酬の目的で島本容疑者に現金200万円を払った疑いがある。また、2人は共謀して同年3~5月、選挙時に田母神容疑者と一緒に歩きながら投票を呼びかけるなど選挙運動をした報酬として、5人に計280万円を払った疑いがある。同法は、選挙管理委員会に届け出た運動員や事務員以外に、選挙運動の報酬を支払うことを禁じている。

 関係者によると、都知事選のあった14年2月ごろ、島本容疑者は総額2千万円にのぼる現金配布用の支援者リストを作成。これをもとに現金を配布していた。リストには島本容疑者や会計責任者ら陣営幹部も記載されていた。

 田母神容疑者は逮捕前の取材に、「島本氏から現金を配ることを相談され、一度は了解したが、多額なので『賛同しかねる』と断った。当時は違法だとは思っていなかった」と話していた。

 田母神容疑者は都知事選で約60万票を集めた。資金管理団体「田母神としおの会」には14年、約1億3千万円の政治資金が集まった。昨年2月、田母神容疑者は使途不明金が判明したとして記者会見。「会計責任者が約3千万円を私的に流用した」と説明した。

 14年の同会の収支報告書には、約5千万円の使途不明金が記載された。これを受けて当時の選挙対策本部長が、政治資金を私的に流用した疑いがあるとして田母神容疑者らを東京地検に刑事告発。特捜部は3月に田母神容疑者の自宅などを捜索して解明を進めていた。(伊藤和行)