[PR]

2030 未来をつくろう

 1970年代にテキサス州で育った私は、コンピューターサイエンスの仕事に就きたいといつも思っていました。でも、ちょっとした想像力が必要でした。家庭の外で働く女性や私が憧れていた仕事をする女性をあまり知らなかったからです。しかし私は幸運でした。自分がなりたい人、なりたいものになりなさいと励ましてくれる母と、女の子だからといって絶対に夢を制限すべきでないと言い切ってくれる父がいたからです。

 父はわざわざ同じ職場のエンジニアの女性を紹介してくれました――最も尊敬する同僚の一人だよ、と言って。女性の貢献やアイデアが男性に負けず劣らず重要だということを目の当たりにしました。今日でも若い女性に向けてこうしたメッセージが常に発せられていません。そんな父がいて、私は幸運でした。

 両親の後押しを受け、私はコンピューターサイエンスと経営学の学位を取り、マイクロソフト社のソフトウェア部門の幹部を10年ほど務めました。そのことをこれからもずっと両親には感謝し続けるでしょう。でも両親の応援によって、コンピューターサイエンスの道に進めただけではありません。女性と女の子の擁護者になるとはどういうことかも学びました。両親は自らが例を示すことで、社会に恩返しをすることの価値を小さい頃から教えてくれました。

 今、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の共同議長としてこの教訓を実行に移そうと、世界中の女性と女の子の可能性を開く支援をしています。

 この15年間、多くの時間を途上国で過ごしてきました。人々と出会い、家に招かれ、話を聞き、彼らの人生について知る――この仕事の一番素晴らしいところです。私は世界のどこであろうと、いつもほかの母親たちと特別な絆をつくれることに気づきました。

 多くの指標が示すように、女の子として生まれることが今ほど良い時代はありません。データを見ると、女性はほぼすべての国でかつてないほど長生きし、健康で良い暮らしを送れることがわかります。しかし日々の経験からわかっていることもデータで確認できます。真のジェンダー平等に至る道のりはまだ長いのです。いまだに女性と女の子が学校に通えず、給与が低く、健康に暮らしたり、十分に地域に参画したりする機会に圧倒的に恵まれないのです。

 昨年インドで6歳の双子、クリシュナとラダと出会ったときに痛感させられました。息子が娘よりも大事にされるこの地域では、ラダが女の子であるというだけで、2人は全く異なる人生を歩むのです。でも本当は、女の子がすべての可能性を発揮できれば、男の子も男性も、すべての人が恩恵を受けるのです。

 女性と女の子のために資金を注ぐことは、正しい行動であるだけではありません。賢い行動なのです。女性と女の子にもっと健康な暮らしや意思決定の力、経済的な機会を与えれば、多くの命が救われ、家計が豊かになり、強い経済を築けるようになります。なぜなら、女性は稼いだお金の大半を家計に入れて、医療費や栄養のある食べ物や教育への支出を優先させるからです。これらは社会の繁栄の礎となります。

 女性は、自分と家族にとって何が一番良いかを知っています。そして、それを実行するための力を必要としています。妊娠するかどうか、そしていつ妊娠するかを女性が決められれば、彼女もその家族も健康な生活を送れるようになり、子どもたちが貧困から抜け出せる可能性が高まります。しかし世界の2億2500万人の女性がいまだに近代的な避妊薬や避妊具を使えないのが現状です。

 私はこれを変えようと決意しました。財団は2020年までに、数千万人の女性と女の子が新たに家族計画を行えるよう力を尽くしています。

 うれしいことに、ジェンダー平等を進める機運は、かつてないほどの高まりを見せています。日本の安倍晋三首相は女性のエンパワーメントの素晴らしい推進者であり、模範を示しています。昨年国連でお会いした時、首相から「すべての女性が輝く社会づくり」の取り組みを聞きました。そして今年3月、国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事と私は、ニューデリーでアジア各国の財務大臣や中央銀行総裁と会議を開き、女性と女の子への投資をさらに増やすよう促しました。

 私は自分を「せっかちな楽天家」と評しています。前進するのは可能だとわかっています。だって、目の前ですでに起きているのですから。しかし、そのスピードを上げるために、私たちすべての人が一役担えるとも思っています。米国や日本をはじめG7諸国からの対外援助は、途上国においてより健康でより裕福な地域を構築するために多くのことができます。それは、すべての人々にとっての、より良い未来につながるのです。

こんなニュースも