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 一昨年の秋以降、一日の大半を自宅のベッドで寝たきりで過ごすことが多くなった。座っているだけでもきつく、台所に立ったり、シャワーを浴びたりすることさえも難しくなった。

 「カメの甲羅を背負っている感じ。人としての生活ができていない」

 青森市の中村めぐみさん(50)が、異変を感じたのは15年ほど前からだ。当時は仕事をしていたが、疲れやすくなり始めた。そのうち急に布団から起きられなくなることもあり、そんなときは仕事を休まざるを得ない日もあった。3年ほど前からは体も痛み始めた。

 病院を訪れると、たびたび医師の心ない言葉に打ちのめされたという。つらい現状を訴えても「どこも悪くない」「休んでください」などと言われた。

 はた目には、元気だった頃と何ら変わりない。1日に30分~1時間出歩くのが限界だが、そんなときは少しでも普通でいようと頑張る。しかし、そんな姿を見た周囲の人からは「元気そう」「どこが病気なの?」と言われた。中村さんは「理解されないことが何よりつらい」と言う。

 2年前に青森県外の病院で慢性疲労症候群(CFS)と、全身に原因不明の痛みが走る線維筋痛症と診断された。現在は盛岡市内の病院に月1回通う。夫が仕事の休みを取り、車で送り迎えをする。「分かってもらえるだけで以前と(精神的に)随分違う」と中村さん。しかし、県外への通院は金銭的にも体力的にも大きな負担になっている。「県内で専門的に診てもらえる体制を」と訴えている。

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 弘前市に住む女性(54)は、10年ほど前に線維筋痛症と診断されたが、CFSのような症状にも悩まされているという。

 十数年前、突然動けなくなる出来事があった。「異常な疲れ」で体がだるく、何もやる気が起きない。「更年期障害なのかなと思った」。一日中、ソファに横になることが必要な日も出てくるようになった。

 疲れると、夜眠れなくなる。眠れないと回復が遅れるという悪循環に陥った。睡眠導入剤も次第に効かなくなり、量が増えていった。

 女性はとりわけ痛みに悩んでいる。夜、頭から足先までの全身の痛みで目が覚めることもあり、痛み止めの処方も欠かせない。最近は口の中がビリビリとしびれるが、病気が原因か、薬の副作用かも分からない。

 しかし、県内に専門医がおらず、現在、岩手県内の病院まで夫が車で送り迎えをする。「医者すらよく分からない病気なのだと思うと、より不安になる」と女性は話す。(小川直樹)

■慢性疲労症候群

 原因不明の強い全身倦怠(けんたい)感、微熱、頭痛、筋肉痛などが長期に続く症状。寝たきりで介護が必要な患者がいる一方、医療・福祉体制が整っていない。患者は国内に約36万人とも推計されている。近年、脳神経系の炎症が原因に関わっているとの報告もあるが、国の難病指定を受けられていない。

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