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 かつて不登校だった若者が、全国の木造校舎を訪ね写真に収める旅を続けている。二人三脚で撮影を支えてくれた父が昨年病気で急逝する悲しみを乗り越え、撮りためた校舎は1114校を数える。

 撮影を続けているのは神奈川県横須賀市に住む角皆尚宏(つのがいたかひろ)さん(26)。

 きっかけは5歳の時に見た映画「学校の怪談」だ。登場する木造校舎の古くてほの暗い空間や木肌の陰影に、怖いと思うよりわくわくした。映画がビデオ化されると借りて繰り返し見たり、小学校の担任の先生に「木造校舎ってどんな所にあるんですか」と質問したりした。

 だが、4年生の頃から不登校になった。原因はよく分からないが、大勢がいる教室に入るのがなんとなく怖くなったという。家に引きこもる日が続いた。

 2002年、6年生のときに父慶次さんにせがんで買ってもらった本「木造校舎の旅」を表紙が擦り切れるほど読み込んだ。本の中で建物の美しさに一番引かれた群馬県勢多郡東村(現みどり市)の村立花輪小学校=01年3月に閉校=に、その年の夏休みに家族で出かけた。気品のあるたたずまいに、思わず「おー」と声を上げた。

 不登校は中学時代も続いた。学校に行けない自分が情けなくて、自殺を考えたこともある。思いとどまらせたのは木造校舎だった。世間から忘れ去られたようないくつもの建物が頭に浮かび、「あの校舎たちを記録に残し、世の中の人たちに知ってもらうまで死ねない」と思った。自宅にいる時間を木造校舎の調査に充て、全国の教育委員会に電話をかけた。

 6年生の旅を皮切りに、慶次さんが運転する車で北海道から九州まで全国を訪ね歩いた。群馬県の私立高校は、偶然取り壊す直前だった。応対してくれた副校長が「あなたが最後の訪問者でしょう。余裕があればぜひ残したかった」と話したのが忘れられない。

 丸みを帯びた手すりやぞうきん…

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