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 南相馬市の桜井勝延市長は17日、教育旅行で同市を訪れた台湾の高校生に講話をした。東京電力福島第一原発事故の被害を語り、「家族や地域をバラバラにする原発は要らない」と強調した市長に対し、生徒らは「事故の深刻さ、復興への道筋がよくわかった」などの感想を寄せた。

 訪れたのは、台北市立大理(ダーリー)高級中学校の高校1、2年生30人や教職員ら。市長は原発事故で今も多くの子どもたちが避難し、避難中に亡くなる高齢者らが増えていることに言及。原発事故の恐ろしさは放射能だけでなく、家族や地域社会を崩壊に追い込みかねないことだと指摘して、「こうした発言を慎む首長は多いが、私は国にも経済界にも世界にも、人々の生活を根底から奪う原発は要らないと訴えている」と話した。

 「放射能の影響は今も厳しいか」という生徒の問いに、市長は除染や復興への取り組みを説明し、「ここの線量は十分に低い」と安全を強調。一方で「今も食材や飲み水の検査を続けている。こんな検査が必要なこと自体が普通ではない」と付言した。

 教師の一人は「それでも日本は原発を再稼働しているが、市民はどう思っているのか」と質問。市長は「市民の間では、なぜ再稼働かとの声が圧倒的。命よりカネを優先する考え方はだめだ」と答えた。1年生の女子生徒(16)は「子どもたちのことを思う話に感動した」と述べ、台湾の原発を心配していた。(本田雅和)