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 町工場が集まる大阪市大正区が今年度から、修学旅行生を対象にした工場見学ツアーに本格的に乗り出した。企業や人口が減り続けるなか、10代の生徒たちの訪問に活路を見いだそうとしている。「ものづくりの魅力が学べる」と学校側の評判も上々だ。

 バチッバチッ。職人が工具で鉄のワイヤロープを切断すると、激しく火花が散った。「かっこいい」「熱くないのかな」。16日昼、大阪市大正区の中村工業の工場を訪れた高知市立城北中の2年生11人は、興味深そうに作業を観察した。

 大阪や京都をめぐる2泊3日の修学旅行で最初に訪れたのが、工場密集地にある中村工業。造船などに使われるワイヤロープの加工会社で、社員25人の中小企業だが、技術は国内トップクラスだ。複数の鋼を手作業で何度もねじれさせ、1本のロープに編み込んでいく作業も体験。谷脇悠生君(13)は「難しい作業ばかりだが、やりがいがある。将来は町工場でおもちゃをつくりたい」。同社の中村和也専務(41)も「若い子たちに見てもらうことで、従業員もモチベーションが高まる」と顔をほころばせた。

 城北中の生徒はこの日、3クラスが5班に分かれ、鋳物工場など5カ所を訪れた。大正区は昭和初期まで紡績会社などが立ち並び、戦後も中小企業を中心にものづくりの町として栄えた。だが、最近は大手企業が下請けを海外に切り替えた影響などで、企業数はピーク時の1992年の888社から420社に半減。人口も65年の約9万6千人から約6万5千人まで減った。一方で工場跡地のマンションに引っ越してきた新住民と町工場との間で騒音などのトラブルが増えているという。

 全国の学生が、技術力のある町工場を訪ねてくることで、住民にもその価値に気づいてもらえないだろうか――。そんな狙いから大正区は昨年度、修学旅行生向けの工場見学ツアーを試験的に始め、今年度から本格的に取り組んだ。

 区が調整役となり、約40の町工場と協力。生徒が負担するのは、軍手代など1人1千円弱程度だ。旅行会社を通して参加を呼びかけたところ、希望校が相次ぎ、今年度は11月までに秋田や神奈川、福岡など全国の小中高13校から約1100人が訪れるという。

 3年目には年2500人の参加を目指しており、町工場の魅力に直接触れることで、ものづくりの仕事を将来の選択肢に入れてほしいという狙いもある。大正区の担当者の近藤高史さん(51)は「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)に負けないぐらいの人気スポットにしたい」と意気込み、「いずれ大正区の町工場で働いてもらえたら」との夢を描く。

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