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 介護保険サービスを提供する事業者に支払われる「介護報酬」が昨年4月に改定されたことに伴い、群馬県内の介護事業所で経営環境が厳しさを増している。収入減少に加え、人材不足の影響もあり、休廃止する事業所は増加傾向にある。

 国は介護度が重い人の対応を手厚くする目的で2015~17年度の介護報酬を改定し、全体で2・27%引き下げた。新規入所者の要介護度や有資格職員の常時配置など基準を満たせば加算金が支払われるが、小規模事業者にとっては条件が厳しいとの見方がある。

 県によると、介護サービスの事業所数は13年度から毎年約5%ずつ増加する一方、介護給付費の支給額の伸び率は13~14年度の約5%に対し、14~15年度は約1・7%にとどまった。

 31日の県議会一般質問で、井田泉県議(自民)の質問に対し、介護事業者の経営状況について、県側は「収入が増えた事業所もあるが、全体として厳しい状況にある」との認識を示した。加算分が得られるよう、事業所の体制整備や制度の周知を進める考えだ。

 県によると、15年度に介護サービス事業所の休止は前年より81カ所多い186カ所。廃止は167カ所多い421カ所に上った。経営悪化や人手不足の影響が大きいと県はみている。

 群馬労働局によると、県内で介護職の有効求人倍率(4月)は2・83倍。14年4月(1・72倍)、15年4月(2・09倍)と年々上昇している。訪問介護や訪問看護などの訪問系事業はパートの依存度が高いが、パートの介護職は、県内の有効求人倍率(4月)が4・05倍とさらに高水準だ。

 前橋市内で利用定員10人の訪問介護事業所を運営する経営者の一人は「介護報酬の改定で報酬単価が下がった。常に定員を満たすよう、利用者へのサービス向上で差別化を図り、事業所全体の成果を上げるよう意識している」と話す。介護職員10人のうちパートは6人で、「労働環境を向上させ、まずは離職率を下げるのが大事だ」と考える。

 県老人福祉施設協議会の津久井敏夫会長は「人件費が上がっており、介護報酬の加算分を確保できなければ経営的に厳しい状況だ。新規参入が増え、利用者や職員確保で競争力の差が生まれつつある」と話す。

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http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(仲田一平)