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 主要企業100社への景気アンケートで、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の評価を聞いたところ、「一定の評価はできる」が81社と最も多く、「大いに評価できる」も4社あった。ただ、財政再建や成長戦略の遅れに対する企業の視線は厳しい。

 「金融政策と財政出動で過度の円高を是正し、国内需要を創出した」。住友ゴム工業の池田育嗣社長はアベノミクスをそう評価する。足踏みを指摘する声もあるが、「デフレ脱却の足がかりをつくった」(富士通の田中達也社長)、「投資・消費のマインドを刺激した」(ダイキン工業の宮住光太執行役員)といったプラス評価が多かった。

 ロイヤルホールディングスの黒須康宏社長は「一時的にしろ、景気を底上げできたことは評価していい」と指摘した。

 評価する安倍政権の政策を三つまで聞いたところ、最も多かったのは「TPP(環太平洋経済連携協定)など経済連携戦略」で、61社が評価した。TPPは昨年10月の大筋合意を経て、参加12カ国が2月に署名にこぎ着けた。「よくぞまとまったと思う」(三井不動産の佐藤雅敏常務)、「とりわけ高く評価している」(三井物産の安永竜夫社長)などと高い評価を集めた。「短期的に痛みのある分野はあると思うが、長期的にはプラス」(京セラの山口悟郎社長)との声もあった。

 次いで多かったのが「法人減税」の57社。「女性活躍の支援策」(22社)、「金融緩和」(19社)も支持を集めた。

 一方、取り組みが足りないと思う政策(三つまで)は、「財政再建」が59社で最も多く、「社会保障改革」が43社で続いた。明治ホールディングスの松尾正彦社長は「老後の不安の減少、子育て環境の改善、出生率向上などを図らない限り、消費に回らず経済成長も期待できない。目先の景気にとらわれず、国家の長期の計から予定通り消費増税を実行すべきだった」と話す。セコムの中山泰男社長は「財政健全化を伴った社会保障制度を充実させ、安心感を与えてほしい」と望む。

 次に多かった「規制緩和」(36社)にも厳しい意見が相次いだ。ローソンの宮崎純常務執行役員は「農業や医療などは踏み込み不足で、既得権者に配慮したように見える」。オリックスの井上亮社長も「目立った成果がない」と指摘した。

 松井証券の松井道夫社長は「医療や農業分野で競争をもっと促すような改革をすべきだ」と強調。バンダイナムコホールディングスの浅古有寿取締役も「第三の矢(の成長戦略)はまだ目に見える成果に至っていない。国民が潤ってきている状況にはなく、デフレマインドも払拭(ふっしょく)されていない気がする」と話す。

 三菱商事の武居秀典調査部長は「日本経済の持続的な成長のためには、規制緩和を含む成長戦略を着実に実行して潜在成長率を上昇させる必要がある」と指摘。大阪ガスの藤原正隆副社長は「これ以上金融政策に頼らず、成長戦略の確実な実行や、大胆な構造改革を進めてほしい」と注文をつけた。(津阪直樹、中村靖三郎、米谷陽一)

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